情報通信政策研究
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立案担当者解説
電気通信事業法の一部を改正する法律
中川 将史関口 温子江口 雄太永井 賢太朗中島 明彦
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2022 年 6 巻 1 号 p. 181-195

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抄録

第208回通常国会において成立した電気通信事業法の一部を改正する法律は、電気通信事業を取り巻く環境変化を踏まえ、電気通信役務の円滑な提供及びその利用者利益の保護を確保するため、①ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の整備、②利用者に関する情報の適正な取扱いに係る制度の整備、③卸協議の適正性の確保に係る制度の整備等を行うものである。

①については、一定のブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)に位置づけ、不採算地域におけるブロードバンドサービスの安定した提供を確保するための交付金制度を創設するとともに、基礎的電気通信役務に該当するサービスには、契約約款の作成・届出義務、業務区域での役務提供義務等を課すものである。

②については、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者が取得する特定利用者情報の適正な取扱いを確保するため情報取扱規程の策定等を義務付けるとともに、電気通信事業者等が利用者に関する情報を第三者に送信させようとする場合、利用者に確認の機会を付与することとするものである。また、検索情報電気通信役務(検索サービス)及び媒介相当電気通信役務(SNS)を提供する電気通信事業を電気通信事業法の届出等の対象とすることとしている。

③については、携帯大手3社、NTT東日本・NTT西日本の指定設備を用いた卸役務に係るMVNO等との協議の適正化を図るため、卸役務の提供義務及び料金算定方法等の提示義務を課すものである。

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© 2022 総務省情報通信政策研究所
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