情報通信政策研究
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寄稿論文
仮想空間の法律問題に対する基本的な視点
現実世界との「抵触法」的アプローチ
小塚 荘一郎
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2022 年 6 巻 1 号 p. 75-87

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要旨

仮想空間をめぐる法的な課題には不明確な点が多く、インターネットの黎明期を思わせる状況にある。しかし、仮想空間には、特定の事業者が提供するプラットフォーム上に閉じた空間が構築されるという特徴があり、オープンなインターネットと状況が同じではない。プラットフォーム事業者が設定する利用規約や技術的な仕様(アーキテクチャ)によってルールが形成される側面も大きい。それに対して、仮想空間内のできごとが現実世界と接点を持つ場合にその関係を調整するためのルールは、今後、法的に検討していく必要がある。これは、一種の抵触法(空間際法)のルールであり、抵触の類型を区別しつつ、具体化していかなければならない。その際の基本的な原則は、「現実世界の優位」であると考えられる。現実世界で確立されている政策判断や価値判断は、仮想空間内の活動に関しても損なわれてはならず、他方で、仮想空間に対する影響を考慮して現実世界での行動が制約されることは、少なくとも当面は、想定しにくいためである。

Translated Abstract

The law of metaverse has just started to be discussed and many issues are yet to be clear. The situation appear to be similar to the law of the Internet in its infancy. However, as metaverse is a self-contained world on the platform, norms can be established through the terms and conditions, as well as technical architecture, both set up by the platform operator. Therefore, the required law is the "conflict of law" rules to respond to conflicts between the actions and events in the metaverse and those in the universe. The basic principle shall be the "preponderance of the universe", which means that the basic policies in the universe shall not be disturbed by the activities and events in the metaverse.

1.本稿の目的

1.1.問題の所在

仮想空間における経済活動が活発になるとともに、そうした活動に適用される法ルールへの関心も高まってきた。とりわけ、GAFAと呼ばれる巨大プラットフォームの一角をなす米国のフェイスブックが「メタ」と社名を変更することを発表した2021年10月以降、「仮想空間」よりも「メタバース」という言葉が多く用いられるようになり、法律家の間でも「メタバースと法」が論じられるようになっている2。他方で、世界的には、仮想空間に導入されるべき法的な規律についての検討が早くも開始され、一部の分野では、立法提案もまとめられつつある。最近では、世界経済フォーラム(いわゆるダボス会議の主催者)が、「開放され、誰も取り残さないメタバース(open and inclusive metaverse)」を実現するためのプロジェクトを立ち上げたことを公表した3

本稿もまた、そうした仮想空間の法ルールについて考察するものである。ただし、すでに進行している世界のプロジェクトのように個別的な論点を取り上げて、それに関する具体的なルールを提案することが目的ではない。むしろ本稿は、さまざまな論点を横断的に俯瞰し、仮想空間の法ルールについて、どのようなアプローチで臨むべきかという基本的な考え方を論ずることを目的としている。

以下では、まず、本稿が対象とする仮想空間(メタバース)の範囲について確認し、その中にもいくつかの種類のものがあるという点を指摘する(1.2)。次に、仮想空間の法律問題に関する現在までの議論及び国際的な立法提案等を概観したうえで、「現実世界の法」と「仮想空間のルール」の抵触を調整するルールが必要とされていること、その際には「現実世界の優位」が基本原則とされるべきであるという視点を呈示する(2)。そこにいう法ルールの抵触にはいくつかの類型があるので、それらを区別しつつ、個別的な論点について具体的な抵触ルールを検討したうえで(3)、今後、仮想空間に関する法ルールが形成されていく中で留意されるべき点を指摘する(4)。最後に、以上の議論を要約して本稿のまとめとする(5)。

1.2.本稿の対象(「仮想空間」の定義)

「メタバース」という言葉は、ニール・スティーヴンスンのSF小説「スノウ・クラッシュ」に由来すると言われるが、それを正確に定義することは容易ではない。最近の著作の中には「リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間」と説明するものがあり、一般的には、おおむねそのように理解されているものと考えられる4

法ルールが問題とされる「仮想空間」は、このような意味における「メタバース」よりもやや広い概念である。たとえば、リアルタイムで参加する主体の数が限られていても、その中で財産的な価値の大きな非代替性トークン(NFT)が取引されていれば、それは仮想空間であって、かつ、主体の活動を規律するルールが問題となる状況であろう。他方で、一般的には、「メタバース」を、現実世界と断絶した「もう一つの世界」と理解しているように思われるが、産業利用などを考えると、むしろ仮想空間と現実世界をリンクさせ、現実世界を忠実に再現した空間を作り出すことにこそ意味があることも考えられる。こうした技術は、一般的に「デジタルツインコンピューティング」などと呼ばれている5

本稿の議論は、これらの仮想空間を広く対象とする。もちろん、仮想空間が現実社会を反映して構築されているか否かは法ルールのあり方を考えるうえで重要であるが、その点は、現実社会の法と仮想空間のルールの抵触を解決する二次ルールの定立を提唱する本稿の基本的な考え方の中では、抵触の類型として考慮することとする。

このように広く議論の対象を設定すると、そこにいう「仮想空間」と従来のインターネットの相違はどこにあるかという点が疑問になりうる。技術的に言えば、それは三次元性と、それによってもたらされる没入感であると考えられる6。技術の発展には連続性があり、従来のオンラインゲーム等においても一定の没入感は実現されていたかもしれないが、「メタバース」その他の仮想空間がここまで大きな注目を集めている背景には、三次元性と没入感が一定の水準を越え、社会的な意味において現実社会と異なる「空間(ルールの規律対象)」を観念させる程度に至ったためであると思われるからである。結局のところ、法ルールは社会構成員の認識に従って形成されるものであり、技術的には連続性があったとしても、社会的に独立の問題領域と認識されれば、そこに新たな法ルールが生まれることは不思議ではない(この状況は、「AI(人工知能)」の定義があいまいなまま「AIと法」が論じられることと類似している)。

2.仮想空間の法ルールに対する基本的な視点

2.1.仮想空間の利用規約とアーキテクチャ

技術の発展によって新たな世界が広がったにもかかわらず、法ルールが明確でないという状況は、1990年代後半のインターネット黎明期を想起させる。しかし、当時に比較すると、仮想空間には、現状でもそれなりの秩序が存在するように思われる。その理由は、仮想空間が閉じた世界を作り出そうとするものであり、仮想空間を提供する事業者がプラットフォームとして介在するからである(なお、「プラットフォーム」は多層的に成立すると思われ、仮想空間が技術的に依存するクラウド等も「プラットフォーム」と言えるが、以下の本稿では、仮想空間を提供する事業者を「プラットフォーム事業者」と呼ぶ)。

インターネット上にも、SNSやフリーマーケット、コンテンツ配信などさまざまなプラットフォームが存在する。しかし、インターネットの場合、それらのプラットフォームは自己完結的に閉じているのではなく、ネットワーク上に、いわば点在している。とりわけインターネットに関する法律問題が意識され始めた1990年代には、そうしたプラットフォームはいまだ少数であり、個々のユーザーがプロバイダを介して直接に世界と結びついているかのような状況であった。そうした中で、国家法による規律を嫌うアナーキスティック(無政府主義的)なインターネット関係者の志向も手伝い、インターネット上における法的な規律はきわめて不明確な状況に陥った。

これに対して、現在の仮想空間は、プラットフォーム事業者が設定した利用規約(日本の民法上は定型約款)によって規律される。利用規約の個別の条項については有効性の問題があり得るかもしれないが、全体としてみれば、それが仮想空間の秩序を形成することは疑いがない。さらに、プラットフォームの技術的な制約によっても、ユーザーが仮想空間内で取り得る行為は制限されうる。プラットフォーム事業者から見ると、データ処理の必要性などによって決定される技術条件のほか、望ましくない行為を行わせないために一定の技術的環境を選択することもあろう。逆に、アクセスコントロール(暗号技術など)を利用して、権利関係を明確にすることも可能である。これらは、コードないしアーキテクチャによるルールの設定であると言える。

さらに、仮想空間内で紛争が発生した場合(たとえば、アイテムの「盗難」をユーザーが主張した場合や、仮想空間内の「土地」をめぐってユーザー間の権利主張が対立した場合)に、プラットフォーム事業者が紛争解決システムを提供することも考えられる。仮想空間内のADRであるから、これは、必然的にオンライン紛争解決(ODR)となる。この点でも、オープンなインターネット上で効果的な紛争解決が難しかった1990年代とは状況が大きく異なると言ってよいであろう。

2.2.仮想空間の法ルールの提案

仮想空間の現状を1990年代のインターネットと比較したとき、いま一つの大きな相違は、いち早く法ルールの形成に向けた動きが出現していることである。すでに指摘したとおり、世界経済フォーラムは、メタバースにおけるデジタルな安全性(digital safety)を確立するための問題提起を行っている。そこで重視されている問題の一つは、メタバースを利用する未成年者の保護である。

より具体的なルール形成が進行している領域としては、仮想空間内のデジタル資産の取引ルールがある。民商事法の国際調和を任務とする国際機関のユニドロワ(私法統一国際協会)は、2020年に「デジタル資産と私法」というプロジェクトを開始し(座長は日本の神田秀樹教授(東京大学名誉教授・学習院大学教授))、「デジタル資産取引に関する原則」の早期採択を目指している7。民間団体の動きとしては、ユニドロワのプロジェクトとほぼ同一の主題について、欧州の法律家のヨーロッパ法律家協会が、「デジタル資産の担保利用原則」を2022年に採択した8。米国では、アメリカ法律家協会が統一商事法典(UCC: Uniform Commercial Code)の第12編「支配可能電子記録」を新設するための検討を進め、草案がほぼ完成している。これらのプロジェクトは、暗号資産やNFTの取引のほか、仮想空間内の「土地」や「物」を対象とした投資・金融取引が活発になっていることを背景として、その問題に特化したルール形成を目指すものである。仮想空間の経済活動が開始されてから短期間でこうした国際プロジェクトがいくつも進行したことは、1990年代のインターネット黎明期には見られなかった特徴的な現象であると言える。1990年代末以降、いわゆる体制移行国の市場環境整備を目的として、国際機関や非政府団体が担保・金融取引の法原則を作成してきた実績が、仮想空間に持ち込まれた結果であると見てよいであろう。

2.3.「抵触法」の必要性

以上に見たとおり、仮想空間内には、現状でもそれなりにルールと秩序が存在し、また取引ルールは急速に確立されつつあるが、なお多くの法的な課題が残されているように思われる。そうした課題は、仮想空間内のできごとが現実世界と何らかの意味でリンクを持つ場合に発生する。閉じた世界としての仮想空間が現実社会に一定の影響を与えるに至った場合、あるいは現実世界の人や財物、権利などについて仮想空間の中でも一定の効果を承認しようとする場合など、仮想空間と現実社会が接点を持つような状況では、利用規約やアーキテクチャによる仮想空間の秩序と、現実社会の国家法や各国の司法制度との間に、相互の関係を調整するルールが必要になるからである。

これは、一種の抵触法(conflict of laws)の問題と言ってよいであろう9。「抵触法」の概念は、現在の日本では国際私法と同義であるかのように考えられているが、本来は、複数の法秩序の間で適用関係が問題となる場合のルールを広く包含するものである。例えば、新法と旧法の時間的な適用関係を規律する「時際法」(法の適用に関する通則法2条参照)や、家族法などが民族や宗教により異なる場合の適用関係にかかわる「人際法」、さらには国家法と宗教法、制定法と慣習法などの特別な法律体系相互の適用関係を定める「体系際法」などは、すべて抵触法のルールに含まれる10。一国内に複数の法システムが存在する場合、それらの適用関係を定めるルール(準国際私法)も抵触法であり、日本でも、第二次世界大戦前には、「内地、朝鮮、台湾、関東州、南洋群島」の間で法の適用関係を調整するため、共通法(大正7年法律第39号)が制定されていた11

そこで、仮想空間(metaverse)と現実世界(universe)の間で法ルールの調整が必要となる場合に、「空間際法」(inter-versal law)ともいうべき法ルールを観念することは、荒唐無稽ではないであろう。とはいえ正確に言えば、仮想空間のルールはプラットフォームの利用規約とアーキテクチャであり、「法」ではない。そうした事情にもかんがみると、「空間際法」は複数の「法」の適用関係を規律する適用規則だけではなく、複数の法ルールが衝突するように見える場合の解決方法について実質法的なルールを提供する連絡規則をも含めて考えるべきであろう12

3.仮想空間と現実世界の抵触法の諸相

3.1.抵触の類型

仮想空間に関する法と現実世界の法との抵触については、いくつかの類型を分けて考えることが有益である。さしあたり、以下の3類型を区別することができよう。

第一は、仮想空間内での行為の効果を、現実世界の人や財産に帰属させる場合に生じる抵触の問題である。たとえば、仮想空間における未成年の保護が問題とされる場合、仮に仮想空間では成人の姿(アバター)を持っているとしても、アバターとしての経験は現実世界の人間であるプレーヤーに帰属され、その際に、未成年としての保護を必要とすると考えられているわけである。また、現実と仮想空間を重ね合わせた拡張現実(AR)の環境の下では、仮想空間を基準とすれば問題のない行為が現実には他人の財産権を侵害しているという可能性もあり、そこにも抵触の問題が発生する。

第二の問題類型は、仮想空間が現実世界を反映した「デジタルツイン」として構築される場合に、「反映する」ということに起因する抵触の問題である。仮想空間の法律問題として、これまでにも、現実世界に存在する建物や美術、肖像などの権利処理に伴う問題が論じられているが、それらの問題はこの類型に属する。

第三に、仮想空間内の「物」が現実世界の財物と法的に対応しているという状況があり得る。たとえば、現実に存在するアート作品について、その作品に対する権利をNFT化して仮想空間内で流通させるといった場合である。この場合、NFTが「アート作品に対する権利」を表すとされることの意味が、法的に検討されなければならない。第一の問題類型では「帰属」、第二の問題類型では「反映」が現実世界と仮想空間のリンクとなっていたことに対して、この類型では、「権利」がリンクになると言うことができよう。 

以下では、各類型に属すると考えられる主要な問題状況を概観し、それぞれについて、考え方の筋道を検討しよう。

3.2.仮想空間内の行為の現実世界における帰属

(1)現実世界の人の利益に対する侵害

前述のとおり、世界経済フォーラムはメタバースにおける「デジタルな安全」の確立を課題として取り上げ、中でも未成年の保護を重要な問題と認識している13。英国の非政府団体が実際に複数のメタバースに参加して検証したところ、その中では、ハラスメントや差別等に当たる言動が横行し、しかも、未成年による利用が禁止されているはずのメタバースにも、多くの未成年(がプレーするアバター)の参加が目撃されたと言う14。初対面の相手に対しては、本人(プレーヤー)が同意を与えない限り、一定以上に近づけないようにするバリヤー(safety bubble)の機能も実装されているが、出会ってすぐにバリヤーを解除するように求められることが多く、機能していないとされている15

ここでの問題意識は、仮想空間における言動が現実世界の存在としてのプレーヤーに「帰属」し、好ましくない影響を与えることを抑制する必要があるというものである。ハラスメントや差別に当たる言動は、表面的にはアバターに対して言われているとしても、現実のプレーヤーの精神に対してダメージを与える。女性のアバターが仮想空間内で性的暴行を受けたとき、端末には振動が伝わり、プレーヤーは精神的に動揺したとの報告もある16。まして、プレーヤーが未成年である場合、仮想空間内で経験するできごとが発達途上の精神に対して悪影響を及ぼすであろうことは否定できない。

このような現実の人間に対する「帰属」を肯定することは、仮想空間内における存在も「本当の自分」であると主張する「分人主義」の考え方を否定する趣旨ではない17。ここでの問題は、現実世界だけではなく仮想空間内の存在も「本当の自分」であることを認めた上で、仮想空間内の「自分」に対する行為が現実世界の「自分」に対する行為として評価される場合があり得るのではないか、言い換えれば、原因となる行為が仮想空間で行われたことを理由として、現実世界の「自分」に対する効果が当然に否定されるわけではない、という点にある。そして、このとき、仮想空間内でのアバターのいかんを問わず、現実には未成年である主体には、判断能力の修得や人格形成が途上であることから未成年としての保護が与えられるべきであるという考え方は、納得できるものである。ここには、現実世界の政策判断(ないしは価値判断)が、仮想空間の規律に際しても優先して適用されるという「現実世界優先の原則」が成立していると言うことができよう。

同様の整理にもとづいて、アバターに対する名誉やプライバシーの侵害についても、一定の限度を越えた場合には、現実のプレーヤーに対する名誉毀損やプライバシー侵害が成立すると考えることができる。この問題については、プライバシーの権利を「自己イメージコントロール権」と位置付ける憲法学説を前提として、仮想空間における「プライバシー」の保護を志向する見解が示されている18。この見解が述べるところを敷衍して言えば、現実世界の個人が持つ「自己イメージコントロール権」は、その個人がプレーヤーとして持つ仮想空間内のアバターのイメージに対しても及ぶということであろう。それは、自己イメージのコントロールに関して「現実世界優先の原則」が妥当することを意味する。

近年、VTuber(バーチャルなアバターを用いた活動をインターネット上のコンテンツとして提供する主体。「バーチャルYouTuber」を意味する用語)に対する誹謗中傷が行われたとして、発信者情報開示が求められる事件がいくつか現れているが、裁判所の中には、バーチャルな存在としてのVTuberに向けられたように見える言動も、「中の人」に対する名誉毀損に該当するとして請求を認めたものがある19。その裁判例では、誹謗中傷とされる言動が、その言動の向けられた側(被害者と主張する側)において現実の人に帰属することが肯定されているわけである。ここで、そもそもバーチャルな存在を法律上の主体(分人)として認め、バーチャルな存在自身に対する誹謗中傷の成立を肯定できないかという問題を考えることもできるが、その点を措くとしても、誹謗中傷による加害が「中の人」に帰属できるのであれば、現行法の下でも救済を肯定することができるのである20

(2)現実世界の財産権に対する侵害

仮想空間内で行われた行為が現実世界の財産権に影響を与える場合も、現実世界の人に対する権利侵害と同じように考えることができよう。たとえば、仮想空間内で行動するためにヘッドセットを装着して手足を動かしていたところ、室内にある他人の所有物を破壊してしまうといった場合が想定される。すでに現実の紛争となった事例としては、ARゲームであるポケモンGo (Pokémon Go)の中でポケットモンスターが出現する地点(ポケストップ)が現実の建物上に設定された結果、ゲームのプレーヤーが私有地に侵入したり、その静穏を害する行為を行ったりした問題がある。プレーヤーは仮想空間を前提に行動しており、仮想空間内では特に規範に反する行為(ゲームのルール違反行為)を行っているわけではないが、その行為の効果が、仮想空間内にとどまらず現実世界において第三者に影響を及ぼした点に問題の本質があった。

ポケモンGoをめぐっては、米国で、ゲームの運営会社を被告として不法行為責任(プレーヤーにコモンロー上のtrespassを行わせたという間接責任)を追及する訴訟が提起された。現実の裁判は和解によって終結したようであるが21、そもそも、現実世界と紐づけられた仮想空間(AR空間)の中でポケストップを任意に設定したことの当否が問題であると考えるならば、この請求は認められるべきであったことになろう。日本法やドイツ法の下では、現実世界の土地所有者が、物権的妨害予防請求権にもとづいて、そうしたポケストップの排除を要求できるという見解も示されている22。そのような考え方は、結局のところ、現実世界の所有権にもとづく物権的請求権が仮想空間にも及ぶことを肯定するものである。他方で、これとは反対に、仮想空間上のポケストップについて仮にいずれかの権利者が存在するとしても、その(仮想空間上の)権利を現実世界に及ぼして、ポケストップ設置の受忍請求権を行使することはできないであろう。ここでも、「現実世界の優位」という原則が貫徹されるのである。

同様の問題は、知的財産権に関してもすでに現実化している。米国のデザイナーであるメイソン・ロスチャイルド氏が「バーキン」の商標で知られるエルメスのバッグをパロディー化し、「メタバーキン」という名称を付したデジタル作品としてNFTマーケットプレイスで販売したところ、エルメスが、米国特許商標庁に登録された商標(文字商標及び立体商標)の侵害を主張して裁判を提起した23。訴訟では、米国商標法に従い、仮想空間内の「メタバーキン」と現実世界の「バーキン」が混同されるおそれがあるかという点がもっぱら争われているようである。より抽象的に言えば、この事件の本質は、現実世界の商標権の効力が仮想空間内にも及ぶかという問題であろう。

3.3.現実世界の仮想空間への反映

(1)知的財産権の権利処理

現実世界を反映した仮想空間を作り出すという試みは、「バーチャル渋谷」や「デジタル甲子園」など、すでに多くの実例がある。「バーチャル渋谷」は、KDDI・(一財)渋谷区観光協会・(一社)渋谷未来デザインを中心とした渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトが渋谷の街を仮想空間に再現したプラットフォームであり24、「デジタル甲子園」は阪神甲子園球場を忠実にデジタル化して企業の展示会に使用したものである25。そのような取り組みは、今後も数多く行われていくであろう。

このとき、現実世界の知的財産権が仮想空間にまで効力を及ぼすと解する限り(前述のとおり、それ自体は一つの論点であるが)、現実世界を忠実に反映するためには権利処理が必要となるであろう26。建物を仮想空間に再現するだけであれば、「公開の美術の著作物」に該当するため(著作権法46条)、著作権の権利処理は大きな問題とはならない。これに対して、街角のポスターなどは「恒常的に」屋外の場所に設置されているとは言えないものも多いであろうから、付随対象著作物(著作権法30条の2)の利用(いわゆる写り込み)に該当する範囲を超える場合には、許諾が必要になろう。また、仮想空間内で音楽の著作物を使用するためには、個別的に著作権者の許諾を取るか、プラットフォーム事業者が著作権管理団体と包括許諾の合意を締結するか27、いずれかの方法により許諾を得なければならないと考えられる。

著作権と並んで、商標権の権利処理も問題となりそうである。店舗の看板や屋上広告等に表示された商標については、街の風景として看板や広告を仮想空間に再現するだけであれば、商標的使用に該当せず、少なくとも日本法が適用される限りは商標権侵害とならないという指摘もある28。仮想空間内の店舗から商品販売サイトにリンクを貼るなど、商取引に利用されているときには、商標として使用されていることになるが、その場合には、商標権者がむしろ積極的に商標を使用する意思を持っているので、やはり問題が生ずることはないと言える。

以上とは異なり、次の二つの場合には、商標・標識に関する問題が現実に生じうる。一つは、商標権者以外の者による商業的活動のために著名な商標が使用される場合である。たとえば、著名なブランドが表示された服を仮想空間内のアバターが着ていたり、高級な自動車の脇にアバターが立っていたりして、そのアバターが商品販売などの経済活動を行うような場合である。これは、他人の著名商標にフリーライドする行為の規制という標識法上のよく知られた問題(不正競争防止法2条2号参照)の応用であるように思われる。いま一つは、現実世界の忠実な反映と称しつつ、特定の事業者にとっての競業者の商標のみを消してしまったり、自身の商標に書き換えてしまったりする場合である。仮想空間内における商標の表示のルールにもよるが、事実関係によっては、「広告を遮蔽されない利益」の侵害を理由とした不法行為の成立や29、プラットフォーム事業者による差別的な取扱い(独占禁止法2条9項6号イ)などに該当する可能性などを否定できないのではないか。

(2)現実世界と仮想空間のリンクが生む経済的価値の変動

ところで、現実世界を(可能な範囲で)忠実に再現した仮想空間では、現実世界で一定の変動が発生すると、その影響が仮想空間に及ぶことがあり得る。たとえば、著名なランドマークが仮想空間に再現され、その近隣の「土地」が仮想空間内で高い経済的な価値を持っていたとしよう。現実のランドマークが取り壊されたときには、現実を忠実に反映する仮想空間であれば、仮想空間のランドマークも撤去されることになる(もちろん、たとえば火災で焼失したランドマークを仮想空間内ではいつまでも維持するという可能性もあるが、そうなると、現実世界を忠実に反映した仮想空間ではなくなる)。その結果、仮想空間内で近隣の「土地」に投資していた関係者は、「土地」の価格が下落することにより、経済的な損失を被ることとなる。

しかし、そうした行為が法的に問題となるとは考えがたい。現実世界の建物の取り壊しや建て替えに際して、それが仮想空間にどのような影響を与えるかについて配慮する義務を肯定することは、少なくとも現状では、ほとんど考えられないであろう。他方で、仮想空間内で、現実を反映した建物(たとえば特定の企業の本社ビル)を汚損するなどの行為は、現実世界には何ら影響を与えないとしても、場合によっては、信用の毀損などを理由とした民事責任を発生させる可能性が皆無ではない。この点に関する非対称性も、前述した「現実世界の優位」という原則の表れであるように思われる。

3.4.仮想空間内の「物」による現実世界の権利の表章

仮想空間内の「物」は、一般に、デジタル資産(digital asset)と呼ばれる。そもそも、デジタル資産に対する権利を、現実の物に対する物権と同じような意味で物権と評価してよいか否かは、世界各国で大きな問題となっている。日本には、物権の客体となるための要件は「有体物性及び排他的支配可能性」であるとして暗号資産(ビットコイン)に対する権利は債権にすぎないとした裁判所の判断がある30。グローバルなルール形成の議論の中では、物権(property right)ではないとしても物権的な権利(proprietary right)を観念することができると考え、デジタル資産に対する権利を物権と見るか債権と見るかによって結論が左右されないような立場をとることが一般的である31

デジタル資産の中には、現実世界に対応物がない自生的な(native)デジタル資産と、現実世界の物に対応した非自生的な(non-native)デジタル資産とを区別することができる32。自生的なデジタル資産の場合、権利の内容は、デジタル資産の生成時に、たとえばホワイトペーパーなどによって決定される。これに対して、非自生的なデジタル資産の場合、リンクされている現実の物に対する権利とデジタル資産に対する権利の関係が問題となりうる。それは、仮想空間と現実世界の間に生ずる抵触の一局面である。

たとえば、現実に存在するアートをNFT化して仮想空間で販売した場合、現実のアートの所有者(デジタルアートの場合は著作権者)と、それに対応したNFTの「所有者」とが一致しないことになったとしても、問題にはならないであろう。NFT化されたアートは、現実世界のアートに由来するものの、それとは切り離された独立の存在と考えられるからである(現実のアート及びNFTの双方に関して、取引関係者への説明が適切に行われていたかという問題は残る)33。他方、現実世界の物を取引するためのトークンが発行され、仮想空間で取引の対象となることも考えられる。高級ワインに対する持分をトークンに表章し、そのトークンの保有者がワインに対する持分の権利者となるといった場合である。このとき、元になった現物(高級ワイン)は独立に取引の対象とはしないことが前提になっていると考えられるが、その条件を無視して現物の取引が行われてしまった場合、現物の購入者とトークンの保有者のいずれの権利が優先するかという問題が生ずるであろう。

この議論は、従来の有価証券に関する法理とやや似た側面がある。有価証券には、手形のような無因の有価証券と、物品証券(船荷証券や倉庫証券など)のような有因の有価証券とがあり、有因の有価証券の場合には、証券の保有者が持つ権利と元になった物品の占有者が持つ権利の関係が問題となる。物品証券の場合、元の物品の引渡しを受けるためには証券と引き換えにしなければならないことが原則であるが(商法613条・764条)、物品証券が発行されているとしても物品自体の即時取得は妨げられず、それによって証券所持人とは異なる者が物品の所有権を取得してしまった場合には、証券発行者の損害賠償責任(倉庫寄託契約や運送契約の不履行責任)によって調整が行われる。非自生的なデジタル資産の場合にも、そうした調整ルールが必要であろう。しかし、物品証券の場合と異なり、法律によって調整ルールが定められる可能性は小さいので、トークンの発行時に明示するか、トークンが流通するプラットフォームの規約として規定するか、といった方法によることになると思われる。

4.仮想空間に関するルール形成のあり方

以上に見たとおり、仮想空間の利用が拡大すると、現実世界との抵触を調整するための法ルールが必要になる。そうしたルールに関する議論は、部分的にはグローバルに進行しつつあるが、その際に留意すべき点がいくつかあるように思われる。

4.1.国際私法(準拠法決定)の問題

その一つは、狭義の国際私法を正面から議論する必要性である。知的財産権の権利処理に関する議論で典型的に見られたように、仮想空間に関する法律論は、しばしば論者にとっての自国法のみを念頭に置いて論じられる場合が多い。しかし、仮想空間内の行為などに対して現実の国家法を適用するのであれば、どの国の法律が適用されるのかを論じないわけにはいかない34。一つの考え方は、特定の国(たとえば日本)からアクセスできる限り、その国の法律が適用されることを甘受しなければならないというものである。これは、従来のインターネットと同じように考えることであり、結局のところ関係するすべての国の法律が適用されると言うに等しい。そして、技術的に可能であれば、アクセス元の国に応じて、法を適用した結果が異なるようにすることが求められよう。たとえば、ドイツからアクセスするプレーヤーに対してはカギ十字の表示が見えないようにするが、他国からアクセスするプレーヤーとの関係では表示されたままにするといった扱いである。もちろん、そうした技術的処理に伴う負荷が大きすぎるようであれば、一律に表示を消すなど、より厳しい規制に合わせる必要が生ずるであろう。

しかし、仮想空間は、特定の事業者が提供するプラットフォーム上に、閉じた空間として展開されるものであり、ユーザーがブラウザのみを介してコンテンツを次々に移動する開放的なインターネットとは性質が大きく異なる。そして、プラットフォーム事業者の利用規約では、特定の国の法律に準拠することが明示される場合も少なくないであろう。その場合には、規約に明示された準拠法がすべての法律問題について適用されると考えてもよいのではないかとも考えられる。ブロックチェーンのように分散管理型の仮想空間が実現すれば事情が異なるかもしれないが35、それ以外の場合には、仮想空間を管理するプラットフォーム事業者が選択した法の適用を前提とすることは、現実的な解決であろう。この考え方は、ユニドロワの「デジタル資産と私法」原則が、物権的な権利についても、当事者の選択によって準拠法を決定できるという考え方を志向していることなどとも整合的である。

4.2.現実世界の優位と基本的な価値

個別的な論点に関してすでに述べたとおり、仮想空間と現実世界の抵触に際しては、「現実世界の優位」という原則が妥当すると考えられる。それは、AIの開発や利用のルールにおける「人間中心の原則」に対応するものともいえよう。仮想空間の活動も、究極的には、現実の人間社会を豊かにするために、またその限りでのみ、推進されるべきものと考えられるわけである。仮想空間の中に、現実の存在とはまったく異なる存在が「リアル」に存在するということを否定する意図はまったくないが、そうした仮想空間内の「リアル」な存在も、それによって主体である人間が、より大きな可能性を手にすることができるかにこそ認められるのであって、逆に仮想空間内の存在を肯定したために現実世界での行動や生活が不自由になるということを認めるべきではないであろう。

「現実世界の優位」という原則はまた、現実世界の中で認められてきた基本的な価値が仮想空間の中でも守られるべきことをも意味する。具体的には、主体(である人間)の自由、人権、平等、そして民主主義といった価値である。これを否定してしまうと、人間(アバター)の自由が奪われ、不平等が支配するディストピアを仮想空間内に作るという自由を承認することになるが、そのようなことは許されるべきではない。この観点からは、私的な情報を無許諾で取得することも禁止されると解される。仮想空間を提供するプラットフォーム事業者の中には、プレーヤー(アバター)が広告などにどの程度注目したかという視線の動きをセンサーで追跡し、広告の実効性の計測に利用する意図があると言われることもあるが36、そのようなセンシティヴ情報は、同意なくして取得されるべきではない37

このことを確認した上で、取引行為などについては、プラットフォーム事業者が定める規約やアーキテクチャによる規律を含めて、私的自治が承認されてよいと考えられる。「私的自治」もまた、現実社会の中で確立された重要な価値と言えるからである。ただし、そうした私的自治は「法の支配」に裏づけられていなければならないのではないか。そのように言えるとすれば、仮想空間における紛争にも、どこかで司法制度による救済が用意されていなければならないと思われる。プラットフォームが提供するADR(ODR)だけで十分かという点が問われることになるであろう。

5.結 語

仮想空間をめぐる法的な課題は、どのように考えるべきかという方向性自体が確立されていないという点で、インターネットの黎明期を思わせる状況にある。とはいえ、仮想空間には、特定の事業者が提供するプラットフォーム上に閉じた空間が構築されるという特徴があり、オープンなインターネットと状況が同じではない。プラットフォーム事業者が設定する利用規約や技術的な仕様(アーキテクチャ)によってルールが形成される側面も大きい。

今後、取り組む必要がある法律上の問題は、仮想空間内のできごとが現実世界と接点を持つ場合に、その関係を調整するためのルールであろう。本稿では、これを一種の抵触法(空間際法)として位置づけ、抵触の類型を区別しつつ、基本的な考え方を記述してみた。抵触ルールの内容は、類型ごとの事情を考慮して具体化しなければならないが、基本的な原則として「現実世界の優位」という原則が認められるべきであるように思われる。現実世界で確立されている政策判断や価値判断は、仮想空間内の活動に関しても損なわれてはならず、他方で、仮想空間に対する影響を考慮して現実世界での行動が制約されることは、少なくとも当面は、想定しにくいためである。

最後に、仮想空間やデジタル資産をめぐって、さまざまな関心から取り組みが始められているが、それらの関心の焦点が必ずしも一致しておらず、想定される状況も一致していないことに注意を喚起しておきたい。グローバルに見て議論の進展が著しい主題は、デジタル資産の取引(とりわけ金融・担保取引)に関するルールであるが、この主題は、仮想空間内の「物」や「土地」に対する権利をも包含するにもかかわらず、もっぱら暗号資産やNFTを念頭に置いた議論が先行しているように感じられる。これに対して、メタバースその他の仮想空間について社会的な意義を強調する論者は、知的財産権や人格権に対する問題意識が強く、財産法への関心は大きくないように見受けられる。そうした前提の違いを超えて、横断的な議論を展開することで、仮想空間の健全な発展が推進されるであろう。

参考文献

脚注に引用したもの

Footnotes

1 学習院大学法学部教授。本稿の内容につき、データ流通・取引研究会で報告の機会を得て、出席者の皆様からご教示をいただいたことに御礼申し上げる。なお、本稿は科研費(課題番号20H00051)を得て行った研究の成果に属する。

2 たとえば、エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークは、2022年5月28日に「エンタテインメントとしてのメタバース活用の法的課題」というシンポジウムを実施した。

3 世界経済フォーラムのウェブサイト<https://initiatives.weforum.org/defining-and-building-the-metaverse>を参照。

4 バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論』〔技術評論社、2022年〕29頁。

5 澤田純監修・井伊基之=川添雄彦著『IOWN構想――インターネットの先へ』〔NTT出版、2019年〕参照。

6 新清士『VRビジネスの衝撃』〔NHK出版、2016年〕27頁。現在に至るバーチャル・リアリティ(VR)技術の発展については、インディラ・トゥーヴェニン=ロマン・ルロン(塚田学(日本語版監修)=水野拓宏(用語監修)=大塚宏子(訳))『バーチャル・リアリティ百科』〔原書房、2021年〕18頁以下参照。

7 ユニドロワのウェブサイト<https://www.unidroit.org/work-in-progress/digital-assets-and-private-law/>を参照。このプロジェクトについては、「神田秀樹先生に聞く:デジタル資産と私法に関するUNIDROITの原則案」(聞き手=小塚荘一郎・曽野裕夫)がNBL1225号・1227号〔2022年〕に掲載される予定である。

8 ELI Principles on the Use of Digital Assets as Security (2022), available at < https://www.europeanlawinstitute.eu/projects-publications/completed-projects-old/use-of-digital-assets-as-security/ >.

9 この考え方は、小塚荘一郎=石井夏生利=上野達弘=中崎尚=茂木信二「仮想空間ビジネス」ジュリスト1568号〔2022年〕62頁、74頁(小塚発言)で簡単に示唆したものである。

10 山田鐐一『国際私法[第3版]』〔有斐閣、2004年〕12頁、溜池良夫『国際私法講義[第3版]』〔有斐閣、2005年〕35~37頁参照。

11 山田三良『国際私法(二)』〔日本評論社、1930年〕32~33頁

12 「適用規則」と「連絡規則」の概念について、實方正雄『共通法』〔日本評論社、1938年〕6~7頁参照。

13 World Economic Forum, ‘How to build an economically viable, inclusive and safe metaverse’, < https://www.weforum.org/agenda/2022/05/how-to-build-an-economically-viable-inclusive-and-safe-metaverse/ >.

14 SomeOFUs, Metaverse: another cesspool of toxic content (2022) 5-8, available at < https://www.sumofus.org/images/Metaverse_report_May_2022.pdf >.

15 SomeOFUs (n 14), 8.

16 SomeOFUs (n 14), 6.

17 メタバースにおける分人主義を強く主張する見解として、バーチャル美少女ねむ・前掲書〔註4〕・194頁。

18 小塚ほか・前掲座談会〔註9〕・71頁(石井発言)。

19 東京地判令和3・4・26(2021WLJPCA04268004)。「中の人」の画像(写真)の公開についてプライバシー侵害を肯定した裁判例として、東京地判令和2・12・22(2020WLJPCA12228030)、東京地判令和3・6・8(WLJPCA06088006)。

20 原田伸一朗「バーチャルYouTuberの人格権・著作者人格権・実演家人格権」静岡大学情報学研究26巻〔2021年〕53頁。

21 クラス・アクションの原告代理人のウェブサイト<https://www.pokemongopropertysettlement.com/>に情報がある。

22 板倉陽一郎「AR(拡張現実)に対するコントロールについての法的考察」情報ネットワーク・ローレビュー18巻〔2019年〕35頁、角田美穂子=工藤俊亮『ロボットと生きる社会』〔弘文堂、2018年〕165頁。

23 Hermès Int'l v. Rothschild, 2022 U.S. Dist. LEXIS 89799.

24 渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトのウェブサイト<https://shibuya5g.org/>を参照。

25 阪神電気鉄道株式会社のプレスリリース<https://www.hanshin.co.jp/company/press/detail/3038>を参照。

26 小塚ほか・前掲座談会〔註9〕・66~68頁(上野発言、中崎発言)。

27 シンポジウム「エンタテインメントとしてのメタバース活用の法的課題」(前掲〔註2〕)における福井健策弁護士の発言。

28 松永章吾「WRコンテンツの知的財産法上における主要論点」ビジネス法務21巻6号〔2021年〕51頁、小塚ほか・前掲座談会〔註9〕・69頁(上野発言、中崎発言)。

29 関真也「AR広告をめぐる利益調整と法規制」ビジネス法務21巻6号〔2021年〕60頁。

30 東京地判平成27・8・5D1-Law判例ID 28233102。なお、東京地判平成30・1・31(判例時報2387号108頁)も、ビットコイン保有者の権利の性質は「必ずしも明らかではないが、少なくともビットコインを仮想通貨として認める場合においては、通貨類似の取扱をすることを求める債権(破産法103条2項1号イの「金銭の支払を目的としない債権」)としての側面を有する」としている。

31 神田・前掲インタビュー〔註7〕・NBL1225号掲載予定参照。

32 小塚荘一郎「VR内の『物』とデジタル資産の所有権」ビジネス法務21巻6号〔2021年〕56頁。

33 天羽健介=増田雅史『NFTの教科書』〔朝日新聞出版、2021年〕189~190頁(増田雅史=古市啓)参照。

34 小塚ほか・前掲座談会〔註9〕・75頁(小塚発言)。

35 分散管理型の(主催者のない)ブロックチェーンにおける準拠法選択は、きわめて困難な問題を提起する。小塚荘一郎「スマートコントラクトと国際私法」学習院大学法学会雑誌57巻1号〔2021年〕287頁参照。

36 SomeOFUs (n 14), 4-5.

37 とりわけ欧州では、GDPR(一般データ保護規則)の適用上、大きな問題となると予想される。この点は、データ流通・取引研究会(前掲〔註1〕)における寺田麻佑准教授の指摘による)。

 
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