情報通信政策研究
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特別寄稿
AI規正論
新保 史生
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2023 年 7 巻 1 号 p. 69-100

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抄録

本稿は、①AIシステムの研究開発から利用、販売及びサービスの提供にあたって必要な「ルール(規制)」を定め、②その遵守について自主的な取り組みを尊重しつつ、③販売やサービス提供において「事実上の強制規格」として機能する「ルール(整合規格・技術標準・要求事項)」を導入し、④それを計画、実施、評価及び改善するためのマネジメントシステム規格を定め、⑤これらの仕組みを規律するための根拠を法定するとともに、⑥「AI規正委員会(仮称)」を設置し、⑦「日本版AIシステム適合性評価制度」を中核とするAI規制構想を提案する。

専ら自主的な規律に期待するソフトローの検討を試行錯誤し続けるのではなく、一方で、反対意見が根強い規制(実質的な禁止事項の法定等)の導入に伴うハードローへの抵抗感を払拭するため、これまで検討がなされてきた原則・指針やガイドライン等をめぐる議論からは発想を転換した取り組みを模索することが本稿の目的である。当該目的を達成するために、規範の遵守を自主性に委ねハードローによる規制を行わない法規制回避論からの脱却、国際的な動向を踏まえたAI規制の「最適化(optimisation)」、AIの研究開発・利用における将来的なAI規制政策に資する方策により、新たなAI規制の制度設計を試みる。

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© 2023 総務省情報通信政策研究所
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