第211回通常国会において成立した「放送法及び電波法の一部を改正する法律」は、近年の放送を取り巻く環境の変化を踏まえ、国内基幹放送事業者が事業運営の効率化を図りつつ放送の社会的役割を果たしていくことを将来にわたって確保するため、①複数の放送対象地域における放送番組の同一化、②複数の特定地上基幹放送事業者による中継局設備の共同利用、③基幹放送事業者等の業務管理体制の確保に係る規定の整備の各措置を講ずるものである。
①については、経営基盤強化計画の認定制度を改正し、国内基幹放送の役務に対する需要の減少等の認められる地域として総務大臣が指定する地域を含む地域において、地域性の確保のための措置を講ずる等の一定の条件の下で、異なる放送対象地域の国内基幹放送事業者が、その個別の経営状態にかかわらず、同一の放送番組の放送を同時に行うための制度を整備するものである。
②については、複数の特定地上基幹放送事業者が中継局設備を共同で利用することで事業運営の効率化を図ることを可能とするため、特定地上基幹放送事業者が、総務大臣による確認を経た上で、他者(基幹放送局提供事業者)の中継局を用いて地上基幹放送の業務を行うことを可能とするものである。
また、日本放送協会(以下「協会」という。)の地上基幹放送の業務の効率化を図る必要性が特に高い地域として総務大臣が指定する地域において、協会の子会社が、中継局を保有・管理し、協会の地上基幹放送の業務の用に供することを可能とするとともに、協会の放送設備の当該子会社への譲渡を放送設備の譲渡制限の例外とするものである。
③については、基幹放送事業者及び基幹放送局提供事業者に対して設備の運用のための業務管理体制(委託先における業務管理体制を含む。)を総務省令で定める基準に適合するように維持する義務を課すとともに、基幹放送業務の認定及び基幹放送局の免許の申請書の記載事項に設備の運用の委託に係る事項を追加することにより、総務大臣が委託の実態を把握することを可能とするものである。
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