抄録
本研究では、映像コンテンツを活用した推測力と「多聴情報」を活用したリスニング力向上を目的とした自己主導型の学習手法の提案を行なった。「多聴情報」とは、音声情報のみならず、視覚情報や文字情報といった聴覚情報以外に関する多様な情報を収集・集約することを意図した造語である。これらを活用し、リスニング学習を行う際に、自分で学習を自律的に行えるようにするための推測力と言語学習を養い、反復的且つ継続的に行える学習手法を確立した。今回の研究では、日本人を対象とし、動画コンテンツを用いて学びたい第二言語の音声とキャプション(第二言語の字幕)を流した状態で一定時間の視聴とリスニングを行い、内容の要約を学習者が推測し、日本語で要点をまとめる。その結果を生成AIを用いて、実際のコンテンツ内容と比較し、差分や誤りを可視化し、リスニング能力を即時的に判定し認識することができる。従来のリスニング学習においては、学習したい言語を聞くだけで終わってしまうものや理解できたような感覚で学習が終わってしまうものがあるが、生成AIと推測力を活用することで、即時的にリスニング学習の結果を理解することができ、実践的な能力を身につけることができる。また現在利用できる無償のシステムやアプリケーションを駆使して、誰もが学習できる手法である。この一連の学習プロセスを通じて、母国語で日常的に行う会話に近い状態で言語学習とリスニング能力の向上を行うことができる。