情報デザイン研究
Online ISSN : 2759-7520
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最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 足立 智子, 野澤 友希
    2025 年1 巻2 号 p. 5-18
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/06
    ジャーナル フリー
    本研究で扱うeスポーツは、CAPCOM 発売の格闘ゲーム「ストリートファイターシリーズ」を使用した公式チームリーグ戦「ストリートファイターリーグ」である。ストリートファイターVの公式サイトでは、全45種類の各キャラクターの特徴を五項目五段階で評価している。この五項目から一つの指標にしたものを、本研究は「総合力」と呼ぶ。複数の変量のデータを一つの合成変量で表すには、加重総和や主成分分析がある。ゲームプレーヤーである選手は、実際にキャラクターを使用して、自らにあったキャラクターを選択する。このため、多くの選手に使用される人気キャラクターが存在する一方で、選手に一度も使用されないキャラクターも存在する。実際、2022年大会リーグ本節で使用されたキャラクターは、全45種類中26種類であった。本研究では、2022年大会リーグ本節のすべての試合における対戦結果のデータに基づき、二つの手法でキャラクターの総合力を提案する。一つ目は主成分分析による手法、二つ目は得失バトル比による手法である。キャラクターの特徴五項目の評価値に対戦データから得られるバトル出場率を乗じた数値で主成分分析をおこなうと、寄与率9割以上という高い値で、総合力を表すことができた。本結果は、AIのリコメンド機能など、選手のキャラクター選択に新しい視点をもたらすだろう。
  • 渡邉 志, 中谷 直史, 白濵 成希
    2025 年1 巻2 号 p. 19-36
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/06
    ジャーナル フリー
    主観評価測定においては、離散的な尺度であるLikert Scale(LS)が広く利用されている。しかしながら、LSは少数の主観評価値では統計的解析が難しく、中心化傾向やハロー効果などのバイアスの影響を受けやすいなどの問題点がある。そこで著者らは、主観評価値の測定方法としてVisual Analog Scale(VAS)の導入を提案している。VASとは0と1の間の100mmの水平線上にマーキングをし、その長さで数値化することで自分の主観が表現できる連続的な比率尺度である。このため、VASはLSに比べて解像度の高い測定値を得ることができる。さらに、VASにより得られたすべての主観評価値を利用して、単変量散布図・蜂群図・箱ひげ図・バイオリンプロットなどにより可視化できる。著者らの提案手法は十分なサンプルサイズが得られない場合を想定している。例えば、高齢者、障碍者、特定の属性を持つ集団など、そもそも対象者数が少ない場合が考えられるが、このようなサンプルサイズが小さい場合でもより適切に全体の傾向を把握することが可能となる。
  • 和久井 ふみ, 藤田 光治
    2025 年1 巻2 号 p. 37-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、映像コンテンツを活用した推測力と「多聴情報」を活用したリスニング力向上を目的とした自己主導型の学習手法の提案を行なった。「多聴情報」とは、音声情報のみならず、視覚情報や文字情報といった聴覚情報以外に関する多様な情報を収集・集約することを意図した造語である。これらを活用し、リスニング学習を行う際に、自分で学習を自律的に行えるようにするための推測力と言語学習を養い、反復的且つ継続的に行える学習手法を確立した。今回の研究では、日本人を対象とし、動画コンテンツを用いて学びたい第二言語の音声とキャプション(第二言語の字幕)を流した状態で一定時間の視聴とリスニングを行い、内容の要約を学習者が推測し、日本語で要点をまとめる。その結果を生成AIを用いて、実際のコンテンツ内容と比較し、差分や誤りを可視化し、リスニング能力を即時的に判定し認識することができる。従来のリスニング学習においては、学習したい言語を聞くだけで終わってしまうものや理解できたような感覚で学習が終わってしまうものがあるが、生成AIと推測力を活用することで、即時的にリスニング学習の結果を理解することができ、実践的な能力を身につけることができる。また現在利用できる無償のシステムやアプリケーションを駆使して、誰もが学習できる手法である。この一連の学習プロセスを通じて、母国語で日常的に行う会話に近い状態で言語学習とリスニング能力の向上を行うことができる。
  • 御薗 恵将
    2025 年1 巻2 号 p. 47-57
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/06
    ジャーナル フリー
    我が国には入院の必要性がないにも関わらず、さまざまな事情により精神科病院からの退院が叶わず、長期入院している精神障害者が少なくない。例えば、退院後における住居の確保が困難なことや、家族が受け入れを拒むこと、そして、長期入院を経た後に地域で生活していくことへの不安などが退院を妨げる理由とされている。このように入院の必要がないにも関わらず入院せざるを得ない状況となっていることは「社会的入院」と呼ばれ、日本の精神科医療における大きな課題とされている。社会的入院の解消に向けて、これまでにも多くの調査・研究が行われてきた。本研究では、精神科病院に長期入院している精神障害者を対象に、地域生活への具体的なイメージを形成して地域移行に向けた意欲を高めるための一つの方策として、VRとメタバースを活用した空間構築ならびに支援プログラムの設計を行うことを提案する。具体的には、入院中の患者がVRヘッドセットを装着し、メタバース上に再現された仮想空間で、グループホームの見学や買い物の仕方をはじめ、駅の場面等の日常生活に必要なスキルを学習可能とする空間構築と支援プログラムの設計を想定している。本提案は長期入院者の地域生活の具体的なイメージ形成を支援することで、不安の解消に繋がり、ひいては社会的入院の解消に寄与することを目指している。
  • 前田 翔吾, 岩井 一師
    2025 年1 巻2 号 p. 59-73
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/08
    ジャーナル フリー
    近年、アスリートのセカンドキャリアが問題視されている。競技生活にすべてを捧げてきたアスリートは、その環境から一歩離れると将来に不安を抱くことも少なくない。特に、オリンピックに出場するようなトップ・アスリートは、アスリートの中でも選ばれた存在であり、競技を通じて人々を魅了することはもちろんのこと、競技外でも、そして引退後においても、人々の憧れの存在である。野球などプロアスリートが引退後、自己破産により悲惨な人生を歩む可能性が高いことなどが示唆されているが、実際のデータは限られている。このように、憧れの的であるが故に実態は明らかにされていないのが実情であり、データベースなどは見当たらない。アスリートのセカンドキャリア対策には実際のデータをもとに可視化することが最も効果的であるという仮説を立て、可能な限り精度の高いデータを収集し、データベースを構築する。さらにそのデータベースを利用し、AIが将来をグレード別に分類し予測する。コーチは競技場面での成功だけではなく、引退後の人生や競技以外の側面も見据えた支援を行なっていく事が重要である。しかしながら現在は勝たせるまでが仕事になっていることが多く、アスリートの引退後までコーチが介入するケースはほとんどない。今回、ポストアスリートのステータスデータベースの情報をもとに将来をグレード別に分け、可視化し、アスリートのセカンドキャリアについてコーチと情報を共有する。その情報をもとにセカンドキャリアについて共に考えるきっかけとなるアプリケーションを提案する。
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