2022 年 101 巻 10 号 p. 196-204
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)廃棄物の炭化(熱分解)および焼成からなるCFRPリサイクルプロセスにおける炭化条件を最適化するために,ラボスケール炭化反応器に加えて市販の熱重量示差熱分析装置を用いて,エポキシ樹脂CFRP炭化条件の生成ガス・タール熱量とリサイクル炭素繊維特性への影響に加えて熱分解反応速度を検討した。さらに,ベンチスケール炭化炉におけるエポキシ樹脂CFRP炭化条件の最適化を試みた。エポキシ樹脂CFRPの高い炭化温度および過熱水蒸気の存在が生成ガス・タール熱量を増加させた。過熱水蒸気有無に関わらず,500℃以下で炭化したリサイクル炭素繊維はほとんど劣化していなかった。エポキシ樹脂CFRPの熱分解反応速度はナイロンおよびポリプロピレン樹脂よりも遅かった。ベンチスケール炭化炉での最高炭化温度は420℃となり,排熱利用を増加させることによって炭化エネルギーの自立化につながることがわかった。