日本エネルギー学会機関誌えねるみくす
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学会賞(学術部門)
バイオマスおよび低品位炭の熱分解,ガス化および炭化に関する研究
林 潤一郎
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解説誌・一般情報誌 認証あり

2023 年 102 巻 3 号 p. 274-280

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抄録

バイオマスや褐炭の熱分解とこれに続く炭化物(チャー)のガス化,揮発成分改質におけるアルカリ・アルカリ土類金属種の挙動や触媒活性,揮発成分とチャーの転換に著しい影響を及ぼす両者の化学的相互作用等を明らかにした。これらの知見を踏まえ,新たな触媒ガス化法を提案し,700℃程度の低温におけるチャーおよび揮発成分の完全ガス化・改質の概念を提案し,これを実証した。 チャー,ガスおよび軽質油を併産する熱分解に関しては,原料の重質油分吸着・吸収能力,重質油と原料の共炭化性等を見出し,これらの物性と反応特性を利用した重質油分のリサイクルによる高温・触媒不要の重質油分フリー熱分解を概念実証した。 加熱時の軟化溶融性を持たない褐炭,バイオマスはコークス原料に不適とされてきたが,これらの資源が200℃以下の加熱と機械的加圧によって可塑化すること,さらに,この物性を利用して得た成型物中の粒子が炭化中に結合・合一する焼結的現象を見出し,高炉用コークスの数倍の強度を持つコークスを製造することに成功した。

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© 2023 一般社団法人日本エネルギー学会
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