日本エネルギー学会機関誌えねるみくす
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102 巻, 3 号
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目次
随想
学会賞(学術部門)
  • 青木 秀之
    原稿種別: 学会賞(学術部門)
    2023 年 102 巻 3 号 p. 268-273
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/31
    解説誌・一般情報誌 認証あり

    石炭は貴重な化石資源であり,燃料や原料としての高度利用は地球の環境保全や資源の有効利用の観点から極めて重要である。エネルギー分野では石炭ガス化複合発電技術の開発が,鉄鋼分野ではコークスの製造法の技術革新による省エネルギーや劣質な石炭種の使用拡大が進展している。これらの技術開発はわが国の産業におけるCO2排出量の低減に多大な貢献を果たしてきた。一方で,CO2排出量の低減が世界的な動きとなる中で,上記の産業においては脱石炭を推進することが喫緊の課題となっている。 石炭に代表される炭素資源は,炭素を循環する形で今後もエネルギー分野や鉄鋼分野をはじめとして,多様な産業で利用されると考えられるが,反応場が比較的高温であることや効率的なエネルギー変換を目指すほどに炭素資源の変換プロセスは複雑なものとなる。このような場の評価を行うためには,実験的な手法のみならず,数値解析的な手法を援用した現象の解明が必要とされる。熱流体解析をはじめとするシミュレーションの発展には,コンピューターの性能向上も相まって近年,めざましい発展を遂げている。しかしながら最先端のプロセスを予測するためには,新規なモデルの提案や精度の向上も必要となる。また,シミュレーションの展開においては,予測上必要となる物性値の測定も欠かすことはできない。これらの問題の解決を行いながら,従来のプロセスの高効率化により,CO2の削減を図りながら,石炭や,人類の活動に用いられる炭素資源の循環利用を目指した研究を進めている。

  • 林 潤一郎
    原稿種別: 学会賞(学術部門)
    2023 年 102 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/31
    解説誌・一般情報誌 認証あり

    バイオマスや褐炭の熱分解とこれに続く炭化物(チャー)のガス化,揮発成分改質におけるアルカリ・アルカリ土類金属種の挙動や触媒活性,揮発成分とチャーの転換に著しい影響を及ぼす両者の化学的相互作用等を明らかにした。これらの知見を踏まえ,新たな触媒ガス化法を提案し,700℃程度の低温におけるチャーおよび揮発成分の完全ガス化・改質の概念を提案し,これを実証した。 チャー,ガスおよび軽質油を併産する熱分解に関しては,原料の重質油分吸着・吸収能力,重質油と原料の共炭化性等を見出し,これらの物性と反応特性を利用した重質油分のリサイクルによる高温・触媒不要の重質油分フリー熱分解を概念実証した。 加熱時の軟化溶融性を持たない褐炭,バイオマスはコークス原料に不適とされてきたが,これらの資源が200℃以下の加熱と機械的加圧によって可塑化すること,さらに,この物性を利用して得た成型物中の粒子が炭化中に結合・合一する焼結的現象を見出し,高炉用コークスの数倍の強度を持つコークスを製造することに成功した。

進歩賞(学術部門)
  • 飯島 晃良
    原稿種別: 進歩賞(学術部門)
    2023 年 102 巻 3 号 p. 281-286
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/31
    解説誌・一般情報誌 認証あり

    内燃機関の高効率化・高出力密度化を実現するための基本となる研究として,火花点火(SI)機関の異常燃焼及び,予混合圧縮着火(HCCI)機関で発生する異常燃焼の発生を可視化し,そのメカニズムを明らかにした。特に,これまでメカニズムが不明であった,強いノッキングが発生する際の燃焼室内の自着火の発生とその成長速度を定量解析する手法を構築することで,強いノッキングは自着火が超音速で進行する形態に遷移しているために起こることを実測データから明確にした。

  • 苷蔗 寂樹
    原稿種別: 進歩賞(学術部門)
    2023 年 102 巻 3 号 p. 287-292
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/31
    解説誌・一般情報誌 認証あり

    良好な環境の維持と持続的な経済成長の双方を満たすスマートな社会を実現するためには,資源消費型社会から循環型社会への転換が不可欠である。循環型社会への転換に向けて,既存の生産システムを根底から見直し,プロセス流体の持つ熱のエクセルギーを再生させ,循環利用する「自己熱再生」を提案した。また,この自己熱再生を用いることで,既存の産業プロセスの大幅な省エネルギー化が達成できることを明らかにするとともに,各プロセスの熱移動に伴うエクセルギー損失を最小化できることを理論的に証明した。このように,エクセルギーを考慮することで,新規の省エネルギーなプロセスの設計や,それら新規のプロセスを組み合わせたシステムの構築を行ってきた。さらには,それらのプロセス設計の要素技術となる物理化学現象を用いたエクセルギー再生装置の提案や常温付近の熱が有するエクセルギーを高効率に電気に変換するエネルギーハーベスティングシステム,また,そのエネルギーハーベスティングシステムを応用したワイヤレスセンサの開発を実施してきた。本項では,筆者が実施してきた検討内容を紹介し,これらの検討が低・脱炭素かつエネルギースマートな実現に資することを示す。

  • 古林 敬顕
    原稿種別: 進歩賞(学術部門)
    2023 年 102 巻 3 号 p. 293-297
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/31
    解説誌・一般情報誌 認証あり

    多様なバイオマス資源および前処理技術,エネルギー変換技術を対象としたバイオマスエネルギーシステムを設計および分析して,バイオマスのエネルギー利用に向けた課題およびその解決策を示した。木質バイオマスを対象としたサプライチェーン設計では,大規模かつ広範囲から資源を収集することで,石炭火力発電所での木質バイオマス混焼率を50%程度に高めることが可能であり,石炭を直接代替することでCO2排出量を効果的に削減可能であることを示した。また,バイオマスエネルギーシステムの評価指標として従来用いられていたエネルギー収支比の問題点をあげて,新たな指標となる資源有効利用率と化石燃料代替率を提唱した。 さらに,木質バイオマスの利用可能量に推計に重要となる,素材生産から消費に至る木材のマテリアルフローを明らかにして,低品質材を供給する仕組みが重要であることを示した。

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日本エネルギー学会100 周年記念連載(ガス化部会)  日本のガス化技術のこれまでとこれから
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