1996 年 60 巻 5 号 p. 431-436
明治期, 大正前期における東京帝国大学本郷キャンパスの外構については, 下記の2点が指摘できる。
1. 明治前期においては, 既存庭園の改修が主体であり, 営繕掛西郷元善や内科教授ベルツ等が関係しているが, ケヤキ並木等, 複数の庭園を並木で結ぶ手法も見られる。
2. 明治後期, 大正前期では, 外構の継承と拡充がなされているが, これらは, 浜尾新, 本多静六等により進められ, 学生が学業に親しめる環境がイメージされている。特にクスノキ並木 (1903) やイチョウ並木 (1906) は, 東京帝国大学における造園学の成立期に実現した造園事例としても位置付けられる。