腸内細菌学雑誌
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総 説<特集:腸内菌叢はコントロールできるか?>
食用油を介した「食事-腸内細菌-宿主」ネットワークによる免疫制御
雑賀 あずさ國澤 純
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2018 年 32 巻 4 号 p. 167-174

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抄録

腸管には数100兆個もの細菌が生息している.これら腸内細菌の影響を最も受けると考えられる腸管には,生体内で最大の免疫システムが備えられており,腸内細菌との相互作用を含めた複雑系を形成しながら恒常性を維持している.近年の分析技術の進歩により,消化器疾患や循環器疾患など様々な疾患に腸内細菌叢の変動が関わっていることが明らかになってきた.加えて,食事や栄養を介した免疫制御についてもメカニズムが解明されつつある.さらには食事成分の一部は腸内細菌による代謝を受けることから,腸内細菌による食事成分の代謝物が宿主免疫系に与える影響も同時に考える必要がある.すなわち,今後は「食事-腸内細菌-宿主」を結ぶ複雑なネットワークを明らかにすることが重要であると考えられる.そこで本総説では,食事成分を由来とする代謝産物のなかでも特に脂質に注目し,腸内細菌を介した脂肪酸代謝と免疫制御について紹介する.

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© 2018 (公財)日本ビフィズス菌センター
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