腸内細菌学雑誌
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総 説
小児の腸内細菌叢とアレルギー
下条 直樹
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2023 年 37 巻 4 号 p. 187-198

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抄録

ヒトの腸内細菌叢は,出生後から乳幼児期にかけてダイナミックに変化し,3歳までに安定するといわれている.乳幼児期に形成される腸内細菌叢は,アレルギー疾患も含めてヒトの健康・疾病に大きくかかわっており,その乱れ(dysbiosis)は短期的のみならず,長期的な影響を健康状態に及ぼす可能性がある.小児の代表的なアレルギー疾患である,アトピー性皮膚炎,喘息,食物アレルギーで発症前からのdysbiosisが報告されているが,特定の菌属の関与は明らかではない.腸内細菌の代謝物のなかで酪酸のアレルギー疾患の寛解における関与を示す研究はいくつかあるが,発症における短鎖脂肪酸の関与についてはまだ不明な点が多い.腸内細菌叢の形成・発達には,出産様式,抗生物質の使用の有無,乳児期の栄養法などが大きく影響する.プロバイオティクスなどによるアレルギー疾患の予防では,出産後の介入は効果はなく,妊娠中からの介入の有効性が報告されている.特に食品・栄養素が腸内細菌叢に与える作用についての解析が今後望まれる.

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© 2023 (公財)腸内細菌学会
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