腸内細菌学雑誌
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ビート食物繊維がヒトおよびラットの腸内フローラに及ぼす影響
名倉 泰三中村 宜司岸田 太郎有塚 勉佐山 晃司辨野 義己
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1998 年 11 巻 2 号 p. 109-115

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抄録

ビート食物繊維 (BDF) がヒトおよびラットの腸内フローラに及ぼす影響について検討した.健康成人7名に, 1日10gのBDFを21日間投与した結果, 糞便中の腸内フローラに変動は認められなかったが, 排便回数や糞便水分の有意な増加および腸内腐敗産物であるアンモニアやインドールの有意な減少が認められた.ラットにBDFを10%添加した精製飼料を与えたところ, 盲腸中の偏性嫌気性菌は変動しなかったが, enterobacteriaceaeとStreptococcusなどの通性嫌気性菌の減少が認められた.また盲腸中の短鎖脂肪酸が有意に増加し, 特にn-酪酸の増加が特徴的であった.ヒト糞便あるいはラット盲腸フローラを接種したBDFの発酵試験では, 酢酸が顕著に増加したが, n-酪酸の生成量は少なかった.以上のことから, BDFはヒトやラットの腸内細菌に利用されるが, 腸内フローラには大きな影響を及ぼさないこと, また排便の促進や腸内腐敗の抑制など有用な作用を示すことが明らかとなった.

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© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
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