抄録
カルシウム (Ca) およびマグネシウム (Mg) は骨の構造または強度を維持する上で重要な役割をはたしている.ゆえに, これらミネラルの骨に対する作用について多くの研究が行われてきた.一方, フラクトオリゴ糖はミネラルの吸収を促進することが知られている.骨表面における骨量とミネラル (CaとMg) 量の増加がフラクトオリゴ糖摂取ラットで報告されており, この骨中ミネラル増加とミネラルの腸管吸収には有意な相関が観察されている.胃全摘出を行った動物では皮質骨および海綿骨両者の減少が観察される骨病変が知られており, この所見は老化による骨粗鬆症の所見と近似している.フラクトオリゴ糖の摂取によりこの骨病変を完全に予防することができた.上記結果は, フラクトオリゴ糖摂取により成長期における骨中ミネラル量が増加した場合, 加齢に伴う骨量の減少を予防しうる可能性を示している.もし, このようなフラクトオリゴ糖の作用がヒトにおいても認められれば, フラクトオリゴ糖は骨に対する有望なプレバイオティクスの一つと言えよう.