日本経営工学会論文誌
Online ISSN : 2187-9079
Print ISSN : 1342-2618
ISSN-L : 1342-2618
原著論文(理論・技術)
データの転送制御に基づいた分散型SVMの効率的な学習手法
湯川 輝一朗三川 健太後藤 正幸
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 68 巻 2 号 p. 86-98

詳細
抄録

近年の情報技術の発展に伴い,大規模データを取り扱う方策の一つとして物理的に離れた場所に存在するデータベースへのデータの格納がある.このようにして分散保持されたデータから知識発見を行う手法として分散データマイニング (DDM) が注目されている.この手法の1つにForreroらによるConsensus Based Distributed Support VectorMachines(D-SVM) と呼ばれる手法が存在する.D-SVMは任意のネットワークモデルのもと,大域的なSVMのパラメータを学習することができるが,学習時の計算回数と通信コストが各データベースに保持されたデータの統計的特徴に影響を受けることが知られている.他方,ネットワークの構造として,例えば拠点間を相互にセキュアに接続することで互いの情報をやり取りするようなネットワーク構造を考えることができる.D-SVMのような任意のネットワークモデルに対応可能な手法よりも,このようなネットワーク構造のもとで効率的にSVMを学習することができれば実問題においても有用であるといえる.そこで本研究では,分散して存在するデータベース同士が互いに全て接続されているようなネットワーク構造を仮定し,データの転送制御に基づいたD-SVMの学習法を提案することで学習に必要な計算回数と通信コストを削減する手法を提案し,人工データ,ベンチマークデータを用いた評価実験によりその有用性を示す.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本経営工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top