2018 年 69 巻 2 号 p. 84-93
本論文では,Takahagiらの現在の近接性を確保した将来の施設配置手法を拡張する形で既存施設の継続利用による将来の施設の代替を考慮して施設配置をする手法を新たに提案する.まず,1)現在の近接性を確保し全施設再配置手法を先行研究で検証されていた地域とは異なる人口分布である岐阜県高山市と特定の人口のみに需要がある施設である中学校を対象に適用対象を広げ手法の有効性を示す.次に,2)既存施設の継続利用による将来の施設の代替を考慮して施設配置をする手法を提案する.その後,1)同様岐阜県高山市の中学校に適用し,1)の全施設再配置した場合と2)の提案手法により得られる既存施設での代替も考慮した場合について,建替や増改築に関する延べ床面積で評価をする.さらに,2)の提案手法を,Takahagiらの先行研究で取り上げられている福島県いわき市の消防施設に対しても適用し同様に評価をする.その結果,提案手法は,全施設再配置に比べてもそれほど近接性を悪化させずに延べ床面積を削減できることを示唆した.