日本経営工学会論文誌
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原著論文(事例研究)
プロセスチーズ工場における2工程ライン設計問題に関する研究
松本 卓夫久保寺 静志田 敬介松川 弘明
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2021 年 72 巻 1 号 p. 65-74

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抄録

近年スマート工場に関する研究が注目を浴びている.Industry 4.0に代表される第4次産業革命ではスマート工場が主役となっており,多くの研究論文が発表されている.しかしながら,その多くは自動化,知能化,IoT(Internet of Things), AI (Artificial Intelligence) に関するものであり,運営における同期化や柔軟性を考慮した設計に関する研究は見られない.本研究では,プロセスチーズ工場における乳化工程と充填工程を対象とし,設備償却費用,稼働費用,同期化費用,および柔軟性費用を考慮した設計問題を考える.スマート工場は必要なものを,必要な時に,必要な量だけ,効率よく製造することが必要条件であり,需要の変動など外部環境の変化や内部環境の変化に柔軟に対処できるように設計する必要がある.工場を設計するときに運用,同期化,柔軟性を考慮することが工場のスマート化に貢献できると考え,投資決定変数と運用決定変数を用いてモデル化を行う.乳化工程と充填工程には複数の設備を設置することができるとし,設備能力と台数の組み合わせを最適化することを目的とする.投資と運用を同時に考える場合,目的関数が非線形になる.そして,組み合わせ数が膨大になり組み合わせ爆発を起こすため,問題の特徴を用いて階層化し,効率的に最適解を求めるアルゴリズムを提案した.また,提案モデルは数値実験を通じてその妥当性を評価し,さらに事例研究を通じて既存工場の運営を評価すると同時に,非合理的な投資を合理的にするための分析を行った.

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© 2021 公益社団法人 日本経営工学会
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