2023 年 74 巻 3 号 p. 133-141
本論文では,ファジィ利得行列を持つ多目的双行列ゲームを定式化するために,制約法と必然性測度に基づく均衡解概念を導入する.このようなメンバシップ関数空間上の均衡解を直接計算することは極めて困難であることから,メンバシップ関数空間の均衡条件を期待利得空間における均衡条件と対応づけて,二つの空間の均衡条件が一致する点を探索することにより最終的に均衡解を導出する手法を提案する.提案手法を用いて,制約法における許容レベル値を更新することにより,均衡解集合の中から一方のプレイヤーの立場からの満足解を導出する対話型アルゴリズムを開発する.仮想的なプレイヤーのもとで対話型アルゴリズムを数値例に適用し,均衡解集合の中から満足解を導出する.