抄録
レイティングの対象となる作業を構成している各要素の作業速度や困難度に関する性質を統計的に研究し, レイティングの精度向上のための補助情報とする接近法は, いくつかの実験的な問題を伴うため採用することが困難であった.本研究はトランスデューサー, 動作時間測定装置, 専用超小型オンラインコンピュータなどを設計・製作することによって, 作業の連続した構成要素の時間値を連続的に, しかも大量に測定することを可能にし, この接近法を実現したものである.従来の研究方法では明確にされていなかった作業の構成要素に関するいくつかの基本的な性質が, 約3万個のデータを測定し統計的に分析することによって明らかにされている.本報文ではレイティングへの応用を前提とした分析を中心として述べているが, 分析結果はレイティングの教育や実施への応用だけでなく, 作業研究の各分野においても参考になる性質のものである.