抄録
本研究では, 職務設計において, 「遊び的要素」を活用することによって, 作業者のモティベーション, 生産性の高度化を目的とする「遊び」と「労働」の統合化の新しい職務設計へのアプローチが提案されている.最初に, 遊びと労働の連続体から遊びと労働の統合可能要因を11次元抽出し, その連続体上に5種類の職務構造モデルを設定した.そして, それぞれの職務の作業者への心理的影響度を実験室的実験により検討した.さらに, 個々の遊び的ファクターの相対的重みが線形重回帰分析によって解析された.本実験における主要な結果は, 純粋な遊び構造に近い職務ほど, 作業者の作業に対するポジティブ感情を高めることを明白に示していた.また, 重回帰分析の結果から, 「内的目的性」という作業者の動機的要因の重要性が見いだされた.