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地域生活学研究
Online ISSN : 2432-1133
Print ISSN : 2186-9022
ISSN-L : 2186-9022
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空家の管理および利用に係るルールメイキングに関する一考察
中山間地域の暮らしをつなぐために: 豊田市の住民提案条例案 策定事例報告
神山 智美
2016 年 07 巻 p. 1-20
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_1
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空家問題は、大きくは都市域と中山間地域の問題に分けられる。なかでも中山間地域における空家は、新規移住者受入れのための資産であり、地域の暮らしをつなぐために有効利用できるものと考えられる。筆者は、前述の観点から行政と市民が地域ぐるみの取組をしている豊田市に関わらせていただいた。具体的には、「豊田市おいでん・さんそんセンター プラットフォーム会議 移住・定住専門部会」に参加させていただいた。本報告は、(1)前述の移住・定住専門部会において住民提案条例案策定に関わらせていただいた経験を記録としてまとめるとともに、(2)市民立法の現状を踏まえ、本件住民提案条例の可能性を検討し、(3)空家等対策の推進に関する特別措置法制定後の自治体による条例活用のあり方について試論したものである。
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(1932K)
歩行環境向上のための方策に関する一考察
富山県黒部市宇奈月温泉を事例として
岡井 有佳, 鈴木 浩太郎, 折本 大輝, 板谷 和也
2016 年 07 巻 p. 21-29
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_21
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宇奈月温泉ではモータリゼーションの進展に伴い来訪者の交通手段が公共交通から自家用車へと変化したことで、メイン通りの交通量が増加して安全な歩行環境が失われつつある。賑わいのある道路空間は観光地に不可欠であり、道路空間の環境を改善する施策が望まれるが、そうした施策を実現するには地域住民の理解と協力が欠かせない。本研究ではこうした問題を把握し改善する方策を検討するために、宇奈月温泉においてヒアリング調査および交通量調査、世帯アンケートを実施し、自動車の一方通行化や一部時間帯における通行禁止といった規制の実現可能性を示した。
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(2015K)
子育て世代の居住地移動に与える影響
島根県邑南町の検討
宮本 恭子
2016 年 07 巻 p. 30-38
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_30
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地方創生と連携した子育て支援策の充実が、地方自治体の重要な政策のひとつとして関心を集めている。本研究の目的は、島根県邑南町を対象に、子育て世代の居住移動の傾向と子育て支援策との関連について検討することである。邑南町では、他の自治体に先んじて人口減少地域としては思い切った子育て支援策の充実を打ち出したことが、合計特殊出生率の上昇や子育て世代の移住者の増加という一定の政策効果につながった。その背景には、過疎地域という地域特性を最大限に活用した子育て支援策を実現できたこと、「子育て支援の充実を町の活性化につなげる」という先進性がメディアの目を引き、それが町全体の子育て支援充実の機運を高める好循環につながったことが大きいことが確認できた。
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(1540K)
緒言:特集「再生可能エネルギーと景観」の刊行に寄せて
鈴木 晃志郎
2016 年 07 巻 p. 39-41
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_39
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(282K)
自然エネルギー事業者と周辺住民との紛争を回避するための土地利用制度のあり方
武本 俊彦
2016 年 07 巻 p. 42-50
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_42
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日本の農山村では、メガソーラーバブルが起きている。その主な原因は、固定価格買取制度(FIT)の導入に加え、日本の土地利用制度が、土地所有権の絶対性の観念が優越し、公共の福祉の観点から制定されたルールに基づいて利用させるシステム(欧米の制度のように、地域全体の土地が、「計画なくして開発なし、建築不自由の原則」の下に置かれ、地域の制定したルールに基づく場合に限って開発・建築が認められること)になっていないことによるものである。日本の土地利用制度が、このような欧米の制度とは異なった形で成立したことを歴史的に分析し、パネル設置などの地域における今後の開発行為に伴う紛争を回避するための制度のあり方を提言する。すなわち、必要な法改正への取り組みが基本であるものの、ただちに実現できるかどうかが不確実であることから、当面、分権改革によって与えられた「自治体の法令解釈権」を活用していくことを提言する。
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(388K)
リスク社会における地域計画の整合性と柔軟性に関する一考察
山梨県北杜市の再生可能エネルギー政策を事例に
朝倉 暁生, 千葉 大裕
2016 年 07 巻 p. 51-59
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_51
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中長期的な将来目標とそれを達成するための具体的な施策の展開がまとめられた地域計画は、関連する計画間の整合性と、様々な変化やリスクに対応できる柔軟性の両面が求められる。また、その策定プロセスや評価のプロセスにおける住民参加を進め、地域が一体となって計画の推進にあたっていく必要がある。本稿ではこの観点から、再生可能エネルギーの推進と自然景観保護のバランスが課題となっている山梨県北杜市を事例として、地域計画における整合性と柔軟性という視点から分析を行った。これらを基に、計画の策定プロセスにおける十分な合意形成を行うための適切な計画の見直しやそこに係わる市民・市民組織のあり方をまとめた。
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(1483K)
農村地理学の視点から太陽光発電施設の建設問題を考える
林 琢也
2016 年 07 巻 p. 60-71
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_60
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本稿は、本誌第6号の特集『再生可能エネルギーの施設立地がもたらす景観紛争―北杜市の持続的発展に向けた対話の試み―』掲載の論考を手がかりに、農村地理学の視点から、太陽光発電施設の建設について主に住民と事業者の関係性や共生のあり方、入会林野や財産区の開発、耕作放棄地の拡大・不在地主の問題、農村景観に焦点をあてて、農村における太陽光発電施設の建設に伴う問題の解消・緩和のための方向性について考察を行った。北杜市で起きた問題の背景には、これまでの農村地理学や隣接分野における研究成果と関わりの深い内容も多い。課題解決の方向性を提示し、実行していくためには、過去の研究や議論に学ぶ姿勢と現在進行で起きている課題に対して地域や住民に寄り添った調査や協働活動の中から研究成果を積み上げ、発信していくことが肝要となる。
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(1618K)
太陽光パネルと景観
秋田 典子
2016 年 07 巻 p. 72-76
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_72
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太陽光パネルによる景観問題が急増している。太陽光パネルが景観面で課題となる要因として、第1に、産業やコミュニティの変容・衰退を象徴すること、第2に、排他的土地利用であること、第3に、周囲の土地利用との調和が図られていないこと、第4に、人間の視覚的特性として自然環境の中では太陽光パネルを優先して捉えてしまうことが挙げられる。これらの課題は屋外広告物や建築設備の景観問題と共通性を持つ。課題解決のための手がかりの1つは、太陽光パネルが自然の恵みを享受して利益を得ているということに対する認識の醸成にあるだろう。
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(1583K)
太陽光発電施設の問題を環境倫理学から読み解く
吉永 明弘
2016 年 07 巻 p. 77-83
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_77
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本論文では、環境倫理学のさまざまな議論を用いて、太陽光発電施設の問題を読み解くことを試みた。特に、太陽光発電施設の批判側の議論の中にある、〈環境にやさしい技術が環境を壊している〉という矛盾に対する憤りや、地域エゴ・NIMBYと言われかねない言説を取りあげ、紛争解決を考えた場合にそれらの意見をどう捉えたらよいかを考察した。そのうえで、太陽光発電施設を設置する際に考慮すべき点として、(1)太陽光発電施設が人間の利便性のための施設である点を自覚して、設置方法や設置場所、利益配分などを考慮すべきこと、(2)合意形成のためには、地域の声を圧殺してはならないことを提言した。
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(1321K)
「景観紛争の科学」で読み解く太陽光発電施設の立地問題
鈴木 晃志郎
2016 年 07 巻 p. 84-94
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_84
ジャーナル
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本論は、景観紛争を論じる上で不可欠かつほぼ同時並行的に成立した「NIMBY」、「受益圏・受苦圏」、「スケールの政治」の3つの類同的な概念装置を援用して、急増する太陽光パネルをめぐって当事者間に景観紛争が勃発している山梨県北杜市の紛争当事者の言説を分析し、「景観紛争の科学」の成立に向けた試論を展開しようとするものである。分析の結果、各々の論旨や論理構成から、景観紛争を生じさせたメカニズムや紛争当事者の言説の齟齬が明らかになり、その有効性が確かめられた。同時に、「太陽光バブル」の退縮により、今後全国的な不採算化とそれに伴う運営放棄が進む可能性を示し、早期に有効な対策をとることの重要性を提起した。
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(1668K)
景観保全のための住民運動のあり方を考える
環境行政法学からの一考察
神山 智美
2016 年 07 巻 p. 95-116
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_95
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第Ⅰ章では、まずもって景観保全が環境公益のひとつであることに言及し、本稿の構成を述べた。第Ⅱ章として筆者が専門とする「環境行政法学とは何か」をかいつまんで説明し、第Ⅲ章において「環境行政法学から見た景観紛争」を概括した。その視点をもって、第Ⅳ章においていささか大上段に構えたタイトルではあるが、「問題を読み解くために:環境行政法学からの提言」と題して、本件(北杜市における太陽光発電施設設置による景観破壊問題)における景観保全のための住民運動について、Ⅳ- 1: 住民らの意見表明に係る対企業の訴訟対応、およびⅣ- 2: 自治体対応(行政の立ち位置および行為規範)について整理し、Ⅳ- 3: 本件(北杜市における景観保全)における住民運動のあり方を検討した。景観は、「みんなのモノ」ではあるが、その所有形態は「他人のモノ」であることが少なくない。それを「自分たちのモノ」として大切に扱うための、地域社会における仕組みおよび仕掛け作りが求められている。その仕組みおよび仕掛けに、正当性をもたせ、かつ正義に適うものとし、それらによって「持続可能な発展」に寄与する方向に向かわせることによって発揮される「環境公益」の実現が、現代環境行政法の究極の目的である。
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(1866K)
景観に適合する有機太陽電池
松尾 豊
2016 年 07 巻 p. 117-126
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_117
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有機半導体の色を変えることで,色を変えられる有機薄膜太陽電池は,軽い,曲げられる,半透明にできるといった特長によってのみならず,景観適合性でも着目される.美しい深い緑色や青色,赤色などの太陽電池を実現でき,景観に合わせて様々な色の太陽電池を設置できることになる.本稿では,有機薄膜太陽電池の開発の現状を紹介するとともに,有機薄膜太陽電池に用いられる材料や発電メカニズムについて説明し,景観に適合する有機薄膜太陽電池の未来について議論する.
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(3008K)
施設園芸学分野における太陽光発電の可能性と課題
霧村 雅昭
2016 年 07 巻 p. 127-138
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_127
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営農型発電システムは、農地の上空に設置した太陽光発電設備で発電し、地上では農作物を生産するハイブリッドな農業システムである。発電した電気を売ることで売電収入が得られ、農家所得の向上が期待できる。また、このシステムを利用することで夏季の過剰な日射を遮ることにより栽培環境の改善が期待できる。一方で、農地保全のためには適正な営農の継続が必要であり、食料生産とエネルギー生産を両立する栽培管理技術が必要となる。本報では、営農型発電設備の設置が設備下で栽培した作物の収量と栽培環境へ及ぼす影響を調査した結果と営農型発電の可能性について論じる。
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(2948K)
いかに気候資源を利用するか
インド農村における環境適応技術の 事例より
浅田 晴久
2016 年 07 巻 p. 139-149
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_139
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本稿では地域住民が自然環境をいかに利用するのか、環境の変化にいかに適応するのかという問題について、地域気候学の視点を提唱して考察する。インド農村を事例として、環境を本来の状態のまま利用する農学的適応技術、環境を都合のいいように改変する工学的適応技術、社会全体として多様性を高めることで環境の変化に対応する社会学的適応技術の3つの事例を紹介する。これらの技術は農業だけでなく、新たな自然の利用形態である太陽光発電についても応用可能である。日本における太陽光発電をめぐる問題も、自然を利用する姿勢、つまり異なる自然観が対立していると読み換えることができる。
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(1560K)
生物多様性・自然保護の観点からみた太陽光発電施設立地
辻村 千尋
2016 年 07 巻 p. 150-154
発行日: 2016年
公開日: 2018/05/01
DOI
https://doi.org/10.20845/jircl.07.0_150
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自然保護の観点で、太陽光発電などの再生可能なエネルギー開発がもたらす自然破壊・生物多様性への悪影響について、その本質がどこにあるのかを考察した。その結果、再生可能エネルギーとはいえ、その地域の歴史を反映した、その地域で培われてきた自然・文化景観を破壊している原因は、開発を前提とした環境影響評価の制度しかないこと、国土デザインや土地利用計画立案段階での自然への影響評価をする制度・仕組みがないことであることを指摘した。つまり自然や文化の状況ではなく、人間のみの都合で土地利用のゾーニングが行われており、そのことが地域での軋轢につながっている。この解決のためには、将来の省エネルギー社会と、生物多様性保全を充分に考慮した上での計画立案段階のアセスメント(戦略アセスメント)を実施し、生物多様性保全を損なわずに、どのような方法で、再生可能な自然エネルギーを供給するかの国土デザインを、国民の声を充分に取り入れて作ることが、最も重要である。
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