日本食生活学会誌
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論文
韓国人と日本人におけるキムチの嗜好特性の比較
金 廷恩松本 仲子
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2006 年 17 巻 3 号 p. 217-223

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抄録
  韓国の伝統的な漬物である白菜のキムチについて韓日間の嗜好を主として官能評価法により検討した。材料配合は,白菜1kgに対して唐辛子20g, にんにく45g, 塩辛60gを1:1:1の基準とし, 唐辛子は0.75, 1.0, 1.2, 1.4, 1.6の5系列, にんにくと塩辛は0, 0.5, 1.0, 1.5, 2.0の5系列とした。また漬日数を2, 4, 6, 10日として試料を調製した。官能評価は, 7段階の評点 [-3=非常に悪い (非常に弱い), 0=普通, 3=非常に良い (非常に強い)] 法によった。結果は次のように要約された。
  1. キムチは漬日数に従って, 歯ざわりが弱まる一方で, 酸味を増し, 韓日のいずれもがpH4前後の6日目と10日目の評価が高く, pH5以上の2日目と4日目は評価が低かった。
  2. キムチの総合評価には, テクスチャーよりも味の影響が強く, 辛味, にんにく臭さ, 旨味, 酸味などが関与した。
  3. 韓日の総合評価は1%の危険率で有意な相関が認められたが, 韓国人は評価基準が明確で, 評価の幅が広いのに対して, 日本人は中心化傾向を示し, 評価の幅が狭かった。
  4. 総合評価で, 韓日ともに高い評価を示したのは, 材料配合が唐辛子:にんにく:塩辛=1:1:1の漬日数6日目と1:1:1.5の10日目, 低い評価を示したのは, 1:2:1の2日目であった。にんにくが多く漬日数が浅いものは, にんにく臭が非常に強いために好まれなかった。
  5. 日本人のキムチに対する嗜好は, 韓国人に比べて, 唐辛子, にんにくの濃度が幾分控えめなものが高く評価される傾向が認められた。
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© 2006 日本食生活学会
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