日本食生活学会誌
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研究ノート
栗, カボチャ, ジャガイモの必須アミノ酸組成に関する一考察
井上 栄彦坂 令子
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2008 年 19 巻 2 号 p. 163-167

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抄録

  植物性食品蛋白の9種必須アミノ酸組成は, 動物性蛋白と大きく異なる。我々は, 食品の必須アミノ酸組成が理想に近いものかどうかを見るために, 必須アミノ酸の “桶” の概念図をグラフ化した。理想的なアミノ酸組成としては, FAO/WHO/UNUが1985年に定めたアミノ酸評点パタンを基準とした。グラフ作成にあたって, 食品の各必須アミノ酸含量相対値として, 食品の全蛋白 (20種アミノ酸) 単位量当たりの各必須アミノ酸含量でなく, 9種必須アミノ酸含量の幾何平均値で各必須アミノ酸含量を割った値を用いた。このグラフを使って主要な植物性蛋白を比較すると, アミノ酸スコアの高い豆類・ソバ粉以外に, アミノ酸スコアの低い栗, カボチャ, ジャガイモもバランスの良い必須アミノ酸組成を持っていることが分かった。栗は縄文時代の三内丸山住民が食べていたものであり, カボチャは中米メキシコでトウモロコシ+インゲン豆とともに食べられ, ジャガイモは南米インカ帝国での主食であったが, それら植物性食品はエネルギー源のみならず蛋白源としても重要な食料であっただろう。

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© 2008 日本食生活学会
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