日本食生活学会誌
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親子の飲行動に関する一考察
女子 (中・高・大) 学生とその両親
原田 まつ子東 愛子下川 千代子関口 紀子加藤 栄子斎藤 禮子五十嵐 益恵三石 禮子
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2000 年 11 巻 3 号 p. 223-240

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抄録

女子 (中・高・大) 学生と両親を対象に親と子の飲行動を, 飲行動 (広義) の流れ, 嗜好と飲行動 (狭義には飲料を飲む・飲まない) と食習慣 (朝食欠食・間食の種類), 肥満度, 肥満意識, 自覚症状, さらに摂取本数について検討し, 以下の結果を得た.
1) 親子ともよく飲む飲料は緑茶・ウーロン茶, 牛乳で, 甘味飲料の果実飲料, 乳酸菌飲料, コーヒー・紅茶 (砂糖入り), コーラ・炭酸飲料とスポーツ飲料は母<父<子の順に飲んでいた.
2) 親子の差は (1) 緑茶・ウーロン茶, 牛乳: 大学生は子<父親 (2) 甘味飲料とスポーツ飲料: 中・高・大学生は子<父母で, いずれも有意な差が認められた.
3) 中学生親子は, 多種類の飲料を家庭内で, すべての母親も家庭内でコーヒー・紅茶 (砂糖入り・なし) を楽しみで飲む比率が高かった. 各年代が内外で飲む飲料は緑茶・ウーロン茶, 食事時・外は牛乳, 緑茶・ウーロン茶であった. 子や父親は甘味飲料を外で食事時・外でも飲んでいた.
4) 子は摂取理由を好きや喉の渇きで, 両親は喉の渇きの生理的理由で選択し, また両親は牛乳や野菜ジュースが体によいという意識で選択していた. 嗜好で, 好きな飲料は各年代とも緑茶・ウーロン茶, 牛乳, 果実飲料や乳酸菌飲料であった. 果実飲料は父<母<子の順序で好む比率が高かった.
5) 子や母親は野菜ジュースや低脂肪牛乳を嫌いではあるが, 体によいという理由で飲み, また, 子は甘味飲料を嗜好でも好き, 理由でも同一で飲んでいた. 中学生父親は肥満傾向の者が多く, また肥満と自覚し, 子と母親は自己の体型を過大認識した肥満と意識していた.
6) 子は, 主食代わりの食品や果物を食べる者が多く, 疲労を訴える者が多い.
7) 肥満傾向のある中学生父親は, 肥満意識があるものの緑茶・ウーロン茶, 牛乳, 甘味飲料, スポーッ飲料を好んで飲む者が多く, また, スナック菓子を摂り, 朝食の欠食が多い.
8) 母親は緑茶・ウーロン茶, 牛乳, 甘味飲料を好み, 肥満を意識しながらこれらの飲料を飲む者が多い.
9) 子は両親に比較し, 一日の飲料摂取本数と甘味飲料の摂取本数が多かった. また, 肥満傾向の中学生は多くの本数を他の区域の者に比べて摂取し, 主食代わりの物や洋菓子を食べる者に多く飲まれている傾向であった.
肥満傾向の大学生の母親は, 肥満を意識し, 間食の食品や朝食の欠食が多い者にこれらの飲料および甘味飲料の摂取本数が多い
なお, 本研究は栄養指導研究会の活動によるものである. ご協力いただきました研究会員の皆様に謝意を表します

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