日本食生活学会誌
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南西諸島産黒糖の製造と品質
大倉 洋代
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2000 年 11 巻 3 号 p. 269-275

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抄録

黒糖固有の成分を生かした食品作りを行うことを目的として, 南西諸島の黒糖製造所12か所 (鹿児島県8製造所, 沖縄県4製造所) から収集した黒糖について, 製造工程の聞き取り, 味と色の品質の官能評価及び成分測定を行った. 味覚や成分等の品質と製造方法に関して, 以下の結果を得た.
(1) 黒糖の製造工程は, さとうきびの搾汁, 搾汁液の煮沸, 石灰の添加, 浮遊する灰汁の除去, 煮詰めた搾汁液を容器から取り上げ, 放冷し固化する過程を経る.
(2) 沖縄産黒糖の色は, 鹿児島産黒糖にくらべて製造所間のばらつきが小さい.
(3) 鹿児島産黒糖と沖縄産黒糖の間には, 糖分と水分及びたんぱく質において有意差はないが, 灰分に有意差が認められ, 鹿児島産黒糖には灰分量が少ない.
(4) 成分間の関係をみると, 水分と糖分間には負の比例関係が, フラクトース, グルコース, ケストースはスクロースとの間に負の比例関係を有し, 灰分とカリウムの間には正の比例関係が, 1%で有意な差が認められた.

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