抄録
岡山県における食物摂取の地域性を1946 (昭和21) 年から1994 (平成6) 年までの49年間にわたり, 国民栄養調査結果を資料として検討した. 検討にあたっては, 1000kcal当たりの栄養素および食品群別摂取量を求め, 岡山県と全国との差の全国に対する比率〔(岡山県一全国)/全国×100(%)〕を算出した.
1) 年代ごとに見ると脂質はいずれの年代も全国よりも少なく, 動物性たんぱく質は1960年代半ばまでは多く, それ以降は少なかった
2) 米類はいずれの年代も多く小麦・大麦類は1960年代半ばから1970年代半ばまでは少なかった. 油脂類は1960年代半ば以降少なく, 魚類は1960年代半ばを除き多かった.
3) 食物摂取の変遷と保健指標では, 脂質 (r=0.85) とカルシウム (r=0.89) の変遷が, 1960年から1990年までの女子の年齢調整死亡率の岡山県と全国との差の変動に有意な相関であった (p<0.05). また, 男子では油脂類 (r=0.88) に有意な相関があった (p<0.05).