日本食生活学会誌
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モミジガサ中の抗変異原活性物質の分離同定
野口 幸子佐々木 弘子立屋敷 哲菅原 龍幸
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2001 年 12 巻 3 号 p. 248-254

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抄録
トリブトファンの加熱分解により生成される変異原物質Trp-P-1に対する抗変異原活性物質の分離同定についてモミジガサを用いて行った.試料は水または有機溶媒抽出を行い, 各種クロマトグラフィーにより分離し, NMR及びFAB-MSにより本体の同定を行った.抗変異原活性の判定は賀田らの方法を参考にS.typhimurium TA98菌株を用いたAmes Testによった.溶媒抽出試料はプレート当たり0.05-5mgの範囲で用いた.抗変異原活性および抗変異原活性本体の分離同定の結果を以下に示した.
(1)モミジガサ水抽出物はTrp-P-1, 0.04μgに対し91%と食用山野草についての既報, 同様強力な抗変異原活性を示した.また有機溶媒抽出で得られた各画分では, Trp-P-1, 0.02μgに対しEt20抽出画分5mgで95%, EtOAc抽出画分0.5mgで60%, BuOH抽出画分1mgで52%の抗変異原活性を示した.
(2)EtOAc抽出画分を用いたカラムクロマトグラフィーにより得られた画分A-Dでは画分C・Dにおいて0.05mgで91%の抗変異原活性を示した.
(3)画分Cを用いた分取用HPLCにより得られたpeak1から5ではpeak 3において0.5mgで66%の抗変異原活性を示した.
(4)1H-NMR, 13C-NMR及びFAB-MSによりpeak3から5は分子量516, カフェ酸2分子とキナ酸1分子からなるdicaffeoylquinic acid, 特にpeak3は3, 5-dicaffeoylquinic acidと同定した.残るpeak2は1HNMRよりisochlorogenic acidと推察される.
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