鹿児島県産の6種類, 沖縄県産1種類及び試作品の合計8種類の黒糖について, 官能評価と, 含有成分の測定を行い, さらに黒糖の品質に影響する石灰の添加量についても検討した.
1. スクロース含有量が多く, 灰分と無機成分の少ない黒糖は, 味の評価が高かった.
2. きび汁に石灰を添加すると, 添加量0.1%までは添加率の増加に伴いきび汁と黒糖の明度 (L*値) は低下したが, 石灰の添加量が0.1%以上になるときび汁と黒糖の明度 (L*値) は増加し, 黒糖の味は石灰臭などにより評価が低くなった.
3. 味と色において, 若者嗜好の評価の高い黒糖の石灰添加率は, 0.05%であった.
4. 石灰の添加によって, 糖の転化が少なくなり, スクロースの含量が保持され, 若者嗜好の美味しい黒糖ができる製造条件に合致した.
5. 伝統的製法による黒糖の灰分含有は平均値2.40g, 標準偏差0.43の範囲にあった.