日本食生活学会誌
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米の品質と食味特性に及ぼす塩素系肥料の影響
澤山 茂阿久澤 さゆり川端 晶子
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1996 年 7 巻 3 号 p. 40-46

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抄録

塩安肥料と硫安肥料の各施肥条件で栽培した各試験区の産米について, 品質および食味特性を検討した結果, 以下のような結果を得た.
1) 精白米粉の糊化特性では, 試料問および施肥条件によっても顕著な差は認められないが, 糊化開始温度についてみると, フォトペーストグラフィでは越路早生がコシヒカリに比べてやや低く, 動的粘弾性ではコシヒカリの方がやや低い傾向を示した.
2) 生精白米粒の硬さについて, 越路早生, コシヒカリともに多肥の方がやや硬い傾向が認められた.越路早生では塩安区の方が, コシヒカリでは硫安区の方がやや硬い傾向を示した.
3) 米飯のテクスチャーについて, 硬さの差をみると, 越路早生よりもコシヒカリの方がやや硬く, 施肥量では越路早生は少肥, コシヒカリは多肥の方がやや硬い傾向を示した.付着性では越路早生よりもコシヒカリの方が大きく, 施肥量では少肥の方がやや大きい傾向が認められた.
4) 米飯の嗜好型官能評価における総合評価の平均評点をみると, 越路早生の塩安区少肥は1.55を得て第1位, つついて塩安区多肥>硫安区少肥>硫安区多肥の順に好まれた.コシヒカリの塩安区少肥は1.20を得て第1位であり, つづいて塩安区多肥>硫安区少肥>硫安区多肥の順に好まれた.

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