2016 年 28 巻 1 号 p. 83-96
観梅の時期、名所として知られる水戸・偕楽園の麓にはJR 常磐線の臨時駅が開設され、臨時快速列車「水戸梅まつり号」が運行されるなど、鉄道と関連した観光事業が展開されている。本稿では当時の新聞各紙の記事や広告を検証して、現在まで続く観梅列車の展開過程を具体的に明らかにし、その特性と意義を示した。加えて観梅列車の展開によって、大名が私有する庭園だった偕楽園が、観梅によって鉄道利用の目的地となり、これが定着していくなかで水戸の観光産業の中枢に位置づけられていったことを指摘した。