本研究は、都道府県単位での観光の経済波及効果分析に関するメタ分析を行い、各地域での観光の特徴やその果たす役割を明確にすることを目的とする。そのために、まず観光関連産業の就業者数ならびに GRP を把握した。次に、観光入込客数ならびに消費額に基づいた観光消費総額並びに経済波及効果のメタ分析を行い、地域ごとの特徴を明らかにした。分析の結果、経済波及効果/観光消費総額は、東京都(1.96)、三重県(1.70)が高いのに対して、千葉県(0.95)、福島県(0.81)は低かった。雇用者比率は、観光 GRP の県内 GRP 比率に比べて小さく、人件費の占める割合が高い労働集約型産業であることや観光関連産業の所得や雇用形態などが原因として考えられた。
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