2021 年 33 巻 3 号 p. 85-94
銭湯は,日本の生活文化体験を求める外国人等の需要や,文化的価値を評価する動きがある一方,家庭内浴槽の普及や,親族への事業承継の慣例化による後継者不足で減少傾向にある。本研究は生活文化資源として銭湯を継承する可能性を見出すため,親族以外が事業承継した事例に着目して次の 3 点を明らかにした。第一に,事業承継において必ず克服の必要な障壁を明らかにしたこと,第二に,レクリーション利用等の新たな需要獲得のための取り組みを把握したこと,第三に,銭湯独自の建築や設備,道具といった「銭湯資産」の意識的・無意識的な継承状況を把握し,今後の喪失リスクを検討したことである。