2017 年 26 巻 1 号 p. 12-20
乳がん検診で唯一科学的証拠に裏付けられたマンモグラフィ検診は,近年,デンスブレストの問題に直面してきた。最も簡単明瞭な解決法は,マンモグラフィが提供する乳腺密度を正確で再現性のある方法で評価し,密度で個別化し,補助診断法の全乳房超音波検査を適正に実施することである。従来の読影医の目視,コンピュータの二次元画像などによる乳腺密度評価は精度,再現性,客観性に乏しいため個別化ツールとしては不適切だったが,最近,開発された自動式三次元乳腺密度評価ソフトウェア(ボルパラ,VolparaTM)は,デジタルマンモグラフィの時代に入り,すべての難題をクリアし,世界的に広まってきた。 当施設では,2013年に同ソフトを導入し,独自の個別化マンモグラフィ検診システムを構築し実践してきた。本シンポジウムでは,ボルパラとシステムの概要,稼働状況,受診者の反応やデータに基づく乳腺密度の実態や個別化の成果について報告した。