日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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ISSN-L : 0918-0729
次世代乳がん検診の夜明け――J-START の結果から個別化検診へ
J-START の解釈と個別化検診への応用
鈴木 昭彦 石田 孝宣多田 寛佐藤 章子塩野(成川) 洋子鄭 迎芳大内 憲明
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キーワード: 乳がん検診, 超音波, RCT, 個別化
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2017 年 26 巻 1 号 p. 8-11

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抄録

J-START(乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験)の初回検診に関する結果が2016年1月のThe Lancet に報告された。その結果,がん発見数・発見率は介入群で有意に高く,中間期乳がんは介入群で有意に低かった。乳がん発見感度は介入群で有意に高かった。一方,超音波の導入に伴って特異度が低下する不利益も明らかとなっており,まだ明らかになっていない死亡率減少効果を含めた有用性の評価は今後の課題である。 対策型検診の個別化には,個別化の指標の妥当性や信頼性,運用上の技術的な問題解決が必要であり,さらにモダリティを追加する場合の利益と不利益とのバランスを,エビデンスの有る形で提示できることが求められる。超音波検査はJ-START の結果を見る限りマンモグラフィ検診の弱点を補う有力なオプションであるが,導入へ向けたエビデンスの創出に加えてハード,ソフト両面の社会的基盤整備も進めて行くことが重要である。

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