2017 年 26 巻 1 号 p. 26-29
わが国のがん検診のうち,対策型検診については,厚生労働省が定める指針に基づいて実施することが推奨されている。この指針におけるがん検診の検診項目や対象年齢等は,有識者で構成される厚生労働省の検討会において,死亡率減少効果等の科学的根拠をはじめとしたさまざまな議論を踏まえ,定められている。 平成27年9月の検討会中間報告書では,「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」の結果を踏まえ,40歳代女性の乳がん検診におけるマンモグラフィと乳房超音波検査の併用法の有用性が明記されたが,同時に,乳房超音波検査における実施体制や不利益への対策など,今後の課題が挙げられたところである。 対策型検診においても,ハイリスク者の検診方法などについて今後の研究および科学的根拠を踏まえた検討が必要と考えられる。 これまでの議論を踏まえ,対策型検診における乳房超音波検査の課題と今後の展望について言及する。