日本乳癌検診学会誌
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第28回学術総会/シンポジウム1
高濃度乳房の告知に関する現場の取り組みと現状
――埼玉乳がん検診検討会報告
矢形 寛 甲斐 敏弘二宮 淳齊藤 毅洪 淳一中野 聡子歌田 貴仁廣瀬 哲也足立 雅樹大崎 昭彦
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2019 年 28 巻 1 号 p. 9-11

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抄録

がん死亡率減少を目指し,複数のがん種において対策型検診のあり方が検討され,厚生労働省の通達のもとがん検診が行われているが,その方法は各自治体に任されており,全国でばらつきが大きい。埼玉県の各自治体も同様であり,乳がん検診においてはしばしば乳腺専門医の関わりが希薄となっていて,専門的立場からの適切な問題解決に向けた動きがみられていない。そこで埼玉県内の乳腺専門医を中心として,埼玉の乳がん検診に関わる様々な問題点を話し合い,情報を共有し,よりよい方向性を考えることを目的として,埼玉乳がん検診検討会を立ち上げ,ホームページを作成し,活動している。一部乳腺専門医の関わりの薄い自治体で,高濃度乳房の告知がすでに始まり,精査施設に影響を与えているため,早急に適切な告知とその後の体制を整えていくことが重要と考えている。高濃度乳房の告知は妥当と考えられるものの,それに伴う問題を解決していかなければならない。そこで,高濃度乳房対策を考えるうえでの共通認識を整理し,乳房構成判定の大きなばらつきを最小限に抑えるための基準づくりへの検討を開始しており,最終的には乳房構成判定アトラスを作成予定である。また,2019年2月には技師向けの超音波講習会も開催している。乳がん検診の課題は山積しており,今後も活動を継続していく。

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