簿記研究
Online ISSN : 2434-1193
会計等式の解釈と可能性
会計基準に対する影響をめぐって
梅原 秀継
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2022 年 5 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

会計等式の解釈は,勘定学説や会計理論を通じて,現在の会計基準とも密接な関係を有している。本稿では,簿記教育の必要から,人的勘定学説の限界を克服すべく浸透した物的勘定学説ないし資本等式が,会計基準の基盤となる理論形成に重要な影響を与えてきたことを確認した。特に会計等式における貸方の請求権ないし資本の捉え方,それと連携する利益概念は,複式簿記の理論的な解釈や体系的な説明原理を追及する際の中心論点として機能している。こうした歴史的経緯をふまえるならば,「記帳技術の訓練指導」や「暗唱的簿記教育」に終始することなく,簿記教育・会計理論・会計基準の有機的結合を念頭に置いた複式簿記の探求が必要と考えられる。

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2022 日本簿記学会
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