2020 年 10 巻 1 号 p. 12-16
〔要旨〕正中弓状靱帯症候群が誘因で後腹膜出血を発症し,interventional radiology(IVR)と開腹手術を施行後に,生死を分けた症例を経験したので報告する。【症例1】67歳,男性。IVR止血後に,腸管壊死に対して開腹手術を施行し軽快転院した。【症例2】53歳,女性。IVRで止血できず,開腹手術移行後に再度IVRで止血。広範十二指腸壊死をきたし永眠された。【考察】生死を分けた点として,止血へ至る時間差と腹腔内出血併発有無が考えられた。IVR先行で診断・治療を行うことが多いが,治療限界を見極める必要があった。【結語】一手技にこだわらず,状況に応じて別手技に移行して早期止血を目指すことが重要と考える。