2020 年 10 巻 1 号 p. 33-37
〔要旨〕【目的】特発性血気胸に対するドレナージ挿入後の出血性ショックについて調査する。【方法】2014 〜2018 年に来 院した9 例の特発性血気胸について,輸血要否,治療選択,ドレナージ後の出血性ショックをカルテより後方視的に調査した。【結果】8 例に胸腔ドレナージを施行し,挿入後3 例が出血性ショックとなった。2 例に緊急手術,1 例に輸血を継続した。 エアリーク持続や出血増加で他3 例が後日手術を要した。手術時間は平均83 分で,入院期間中央値は手術例7 日(4 〜11 日),非手術例9.5 日(6 〜11 日),ドレナージ期間中央値は手術例4 日(2 〜8 日),非手術例9 日(5 〜9 日)であった。【考察】胸腔鏡下手術による止血は比較的容易で,早期手術を検討すべきである。胸腔ドレーン留置後に出血が助長される症例があり,注意深い経過観察が必要である。【結論】特発性血気胸に対し胸腔ドレーンを挿入する際は循環動態の注意深いモニターを要す。