Japanese Journal of Acute Care Surgery
Online ISSN : 2436-102X
原著
大量輸血プロトコール(MTP)での輸血製剤の破棄
岩瀬 史明萩原 一樹井上 潤一渡邉 紗耶香宮﨑 善史松本 学柳沢 政彦笹本 将継釘宮 愛子吉野 匠伊藤 鮎美松本 隆吉田 侑真岩瀬 弘明本田 智美
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2022 年 12 巻 1 号 p. 41-47

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抄録
〔要旨〕【背景】防ぎえた外傷死亡の原因の多くは出血と報告されている。大量出血が予想される患者に対して大量輸血プロトコール(massive transfusion protocol;MTP)が取り入れられるようになったが,MTP発動時の輸血製剤の破棄の実態は不明である。【方法】2015~2019年に山梨県立中央病院高度救命救急センターに搬送され,MTPが発動された外傷患者の輸血製剤の破棄の状況について調査した。【結果】320例にMTPが発動され,23例(7.2%)で輸血製剤の破棄を認めた。大量輸血症例で10例,赤血球輸血を実施しなかった症例においても9例の破棄を認めた。もっとも多かった製剤は新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma;FFP)であり,解凍後に不要となり破棄されていた。MTP中止が遅れ,保管・認証方法の不備や破損によるものも認めた。【結語】MTPにおいて輸血製剤の破棄を減らすためには,FFPの解凍後の使用期限の延長による他の患者への転用や凝固因子の補充のためにFFP以外の製剤の運用,製剤の取り扱いに関するスタッフの教育が必要である。
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© 2022 日本Acute Care Surgery 学会
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