日本応用動物昆虫学会誌
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モンシロチョウの休眠誘起時における脳-側心体系の微細構造
I. 脳の一般的構造
河野 義明
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1971 年 15 巻 4 号 p. 228-239

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抄録
蛹化前後における脳の解剖学的変化と微細構造とを述べた。
前蛹期に脳の側方に視葉が発達し,幼虫の側単眼が内部へ移動して視葉の外側に埋没する。蛹化1日目には食道下神経球が前方へ移動し,脳の直下に密接する。これらの変化は休眠,非休眠両個体で観察された。
蛹化後3日以後には非休眠個体のみで視葉の髄質が発達し,運動神経細胞が大きくなる。電子顕微鏡観察では,特異的な小胞体の集合をもつperinurium cell,細胞内構造の異なる二種の巨大グリア細胞,遊離リボソームに満ちたグリア細胞と運動神経細胞,普通の神経細胞などを観察し,脳の一般的構造を明らかにした。
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