日本応用動物昆虫学会誌
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15 巻, 4 号
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  • 寒川 一成
    1971 年 15 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカの吸害により病変した水稲葉身部の蛋白質,遊離アミノ酸,および糖の定量定性的変動を明らかにし,その原因を考察した。
    分折の結果,トビイロウンカの吸害により黄変しつつある葉身部では蛋白質が減少し,遊離アミノ酸とアマイドが著るしく集積しており,蛋白代謝の動的定常状態がみだされ,分解的方向に傾いていることが明らかになった。その原因として,トビイロウンカが葉鞘部に集中寄生し維管束から吸汁する際に,根部で合成され葉身部へ補給されるアミノ酸類や蛋白代謝を制御するホルモン様物質を,汁液と共に奪取するためであると考えられた。また黄変した葉身部からは還元糖であるブドウ糖と果糖も多量に検出された。
  • 第2報 尿酸生成と組織崩壊
    藤條 純夫
    1971 年 15 巻 4 号 p. 180-188
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Differences between sexes concerning the changes of uric acid and protein contents in the silkworm during its pupal stage, which have been described in a previous paper (TOJO, 1971), have also been evidenced through the following tracer studies. Active incorporation of 14C into uric acid during the 6 hours after 2-14C-glycine injection was observed in the male in the mid-pupal stage and again shortly before emergence, whereas in the female it was observed only in the late pupal stage, namely those stages coinciding well with the stages of rapid accumulation of uric acid. The incorporation of 14C into protein from injected 2-14C-glycine increases conspicuously from the mid-pupal stage, in the female, reaching a maximum at the 80% pupal durationstage. When protein was labelled with the injection of 2-14C-glycine into early male pupae, 14C was lost from the protein and appeared rapidly in the uric acid from the mid-pupal stage. In the female, 14C in both protein and uric acid changed only slightly. From the kinetic analyses of the above-mentioned tracer experiments, it was calculated that in the male, the protein synthesized during pupal period is 10% of total protein, while 37% of larval protein degrades to amino acids, causing an active catabolism to uric acid of larval protein without being reutilized. In the female, only 12% of total protein degrades to amino acid, which is efficiently reutilized for adult tissue formation. This was also shown in the investigations related to the distribution of protein among tissues in the female pupa. The above-mentioned differences between sexes are believed to be due to the small development of the testes in the male compared with the ovaries in the female. Based on a study of the changes that occur in the specific activity of protein and of free amino acids in the tissues of the female pupae that has been injected with U-14C-leucine, it can be suggested that the larval proteins are used for adult tissue formation, without being degraded to amino acids.
  • I. とくに第1令の発育時期による差異
    中島 誠
    1971 年 15 巻 4 号 p. 189-197
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコの第1令各時期における核酸塩基類似体の影響を比較するために,ヘテロ黒縞蚕およびヘテロ油蚕を用いて,第1日目,2日目または3日目に5-ブロモデオキシウリジン(BUdR)または5-ブロモウラシル(BU)を添食し,発育阻害の程度,死亡率および変異斑誘発頻度を調べた。
    1) 致死および変異斑誘発に対するBUdRおよびBUの効果は,いずれも第2日目添食の場合にもっとも大きく,その他の時期には効果が小さかった。
    2) 第5令期に変異斑の大きさを測定した結果,BUdR添食の時期が早いほど大きく,第1日目添食の場合は第3日目の場合の約2倍の大きさであった。これは第2日目に真皮細胞のDNAが倍加するためであると考えられる。
    3) 添食Br量と添食14時間後のBr量とを定量して,BUdRまたはBUの留存率を調べた結果,第2日目および第3日目添食の場合は第1日目の場合よりも留存率が高く,またBUdRの留存率はBUの数倍も高かった。このことが障害効果は第2日目添食のほうが第1日目の場合より高く,またBUdRのほうがBUより高い一因と考えられる。
    4) 第1令各時期にBUdRを添食し,その前または後にγ線照射(800R)を行ない,変異斑誘発に対する両者の相助効果を調べた結果,第1日目または第3日目は添食前照射の場合に,また第2日目は添食後照射の場合に相助効果がみられた。
    5) 以上の結果にもとずき,これらの障害の原因はBUdRがDNAに取り込まれるためであると考えた。その理由は第2日目は真皮細胞などのDNA合成期にあたることと,DNA合成やγ線照射によってBUdRの取り込みが増大するといわれているからである。
  • 渡部 仁, 小原 隆三
    1971 年 15 巻 4 号 p. 198-202
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコに核多角体病ウイルス(NPV)あるいは細胞質多角体病ウイルス(CPV)を接種し,感染中期から末期における体液蛋白質の変化をアガロースを支持体とする電気泳動法によって調べ,また各種14Cアミノ酸の体液蛋白質へのとり込み量から,その合成機能の変化を調査した。
    その結果,核多角体病蚕については,感染中期以降体液蛋白質の電気泳動像に変化が現われ,泳動性の低い蛋白質分画から高い蛋白質分画の順に減少消失して行った。各種14Cアミノ酸の各蛋白質分画へのとり込みは,感染中期において,すでに抑圧されていたので,脂肪組織本来の体液蛋白質合成機能はNPVの感染により顕著に阻害されていると考えられた。
    また,細胞質多角体病蚕については,CPVの感染末期になって体液蛋白質の電気泳動像に若干の変化が現われ,各蛋白質分画は量的に減少した。しかしながら,各種14Cアミノ酸の各蛋白質分画へのとり込みは,正常蚕のそれと大差なく,脂肪組織の体液蛋白質合成機能そのものは,CPV感染末期においても正常に維持されていると考えられた。
  • 小久保 醇
    1971 年 15 巻 4 号 p. 203-210
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    千葉市郊外のクロマツ林において,マツカレハの死亡要因を調べた。
    世代内における個体数の変動をみると,発育初期においては非生物的要因による減少が大きく,中∼後期においては生物的要因による減少が大きいと考えられた。
    卵期の死亡は主として卵寄生蜂によるが,死亡率は比較的低く,例年20%にみたない。幼虫期の死亡の大部分は1令から2令にかけて起こり,この時期にふ化幼虫の70%以上が死亡するが,これは地上への落下が主な原因である。越冬に至るまでには3∼4令の幼虫がカマキリなどの捕食によって死亡する。越冬中の死亡は黄きょう病によるものが多い。越冬終了後は寄生蜂や寄生バエによって死亡するが,死亡率は一般に低い。しかし,とくに虫の密度が高いときには春から夏にかけてウイルス病が発生し,密度の急激な低下をもたらすことがある。蛹期の死亡は主として寄生昆虫によるが,ときに幼虫期に流行した病気の影響を受けて高率の死亡が起こる。
    当地方と,同じような林分構成状態にある茨城県鹿島地方とを比較すると,蛹期の寄生昆虫については,その種数が少ないこと,寄生蜂の寄生率が低いのに反し寄生バエのそれは常に高いことなどの共通点がみられたが,卵期のそれについては,鹿島地方においてもっとも密度の高いマツケムシクロタマゴバチ(その寄生率は著しく高く,ときに100%に達する)が当地方ではまったくみられないこと,鹿島地方では密度がきわめて低いキイロタマゴバチが当地方では優占種であることなど,かなりのちがいがみられた。また,病気については,虫の密度が高いときにウイルス病の流行することが同じように観察されたが,一方,鹿島地方ではほとんどまったくみられない黄きょう病が,当地方では虫の密度に関係なく幼虫∼蛹期を通じて常に発生していた。
  • 第2報 フジコナカイガラムシとオオワタコナカイガラムシ越冬幼虫の相互関係
    上野 晴久
    1971 年 15 巻 4 号 p. 211-214
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    フジコナカイガラムシとオオワタコナカイガラムシの寄生密度がかなり高く,両者ほぼ同程度寄生していると思われた平核無園のカキ35本をもちいて,両者の寄生状況を比較調査した。
    樹単位の両者の園内分布は集中分布を示し,特定の樹にとくに寄生密度が高かった。フジコナカイガラムシの芽順別1芽平均寄生虫数は,第1芽がとくに高く,第2芽以下と有意な差があったが,オオワタコナカイガラムシでは芽順別には差は認められなかった。
    両者は芽に関しても,樹全体としても相互に影響しあうことなく,一方の存在とは無関係に,寄生場所をえらんでいた。
    また両者とも寄生密度の低いときは芽に対して機会的分布を示すが,密度が高くなると集中分布を示すようになることが示された。
  • 岡田 利承
    1971 年 15 巻 4 号 p. 215-221
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines ICHINOHE)の卵(5°Cの湿った土壤中のシストから得た)を,インゲンの根の浸出液につけてふ化を促進する場合に,この卵をすぐ根の浸出液につけるよりも,まず温水に入れておいてから,根の浸出液に移す方がふ化率は高くなることがわかった。卵を温水につけないか,つけても短期間の場合は,根の浸出液に入れたあとのふ化率の高まりは遅く,最終的なふ化率も低かった。
    2) 前もってつけた水と,根の浸出液の浸漬温度をともに25°Cとした場合は,水につける期間が1∼4週間の時にふ化率が最も高くなった。また水につける期間を2週間とした場合は,その時の温度を25°Cか30°Cとすると,ふ化率を最も高くすることができた。前もって水につける処理の温度と期間の関係は,一般に温度が低ければ長期間の浸漬を必要とし,温度が高ければ短期間の浸漬でよかった。ただし35°Cの水につけた後では,25°Cの浸出液に入れてもふ化率は高くならなかった。
    3) 根の浸出液は25°Cの時に,その前の処理条件にかかわらず,ふ化率は最も高くなった。以上から,ふ化率を高めるための処理条件は卵をまず25°Cか30°Cの水に1∼2週間つけた後,25°Cの根の浸出液に移すのが最もよいと考えられる。
    4) ただし,前もって25°Cの水に卵をつけた場合には,30°Cの水につけた場合よりも,水中でふ化してしまう割合が高く,そのため浸出液に移してから後のふ化率は逆に少なくなった。根の浸出液に入れてから短期間にふ化率を高める目的の場合は,水の浸漬温度を30°Cとするほうがよいと思われる。この場合の浸漬期間は1週間で十分であると考えられる。
  • 青木 襄児
    1971 年 15 巻 4 号 p. 222-227
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Beauveria bassianaは諸外国で寄生昆虫の種類がきわめて多く報告されているのに対し,わが国ではカイコ以外の野外昆虫に寄生するという報告はほとんどない。
    著者は8種の野外昆虫から分離した17株の寄生菌につき,MACLEOD (1954)の基準に従って分類学的同定を行ない,マツノシンマダラメイガ,マツカレハ,コウモリガおよびチャドクガから分離された9株をB. bassianaと確認した。しかしこれら菌株の胞子形成細胞は集合性を示し,球形,徳利形あるいは円筒形で,カイコから分離した白きょう病菌のそれが単離性で,菌糸から細長く形成されるのとくらべ,きわめて対照的であった。
    蚕蛹体表と培地上での菌の発育状態により,野外昆虫から分離したB. bassiana株は2群に類別されたが,いずれも分生子は密集して淡黄色粉末状に形成され,白きょう病菌と呼ぶより黄きょう病菌と呼ぶ方が適切であった。しかし同時に供試したSpicaria sp.とHirsutella satumaensisも淡黄色の,さらにIsaria sp.は黄色の粉末状分生子を形成した。
    わが国においても,野外昆虫に黄きょう病症状を示す病原菌の中に,B. bassianaの占める割合の高い可能性が認められた。
  • I. 脳の一般的構造
    河野 義明
    1971 年 15 巻 4 号 p. 228-239
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    蛹化前後における脳の解剖学的変化と微細構造とを述べた。
    前蛹期に脳の側方に視葉が発達し,幼虫の側単眼が内部へ移動して視葉の外側に埋没する。蛹化1日目には食道下神経球が前方へ移動し,脳の直下に密接する。これらの変化は休眠,非休眠両個体で観察された。
    蛹化後3日以後には非休眠個体のみで視葉の髄質が発達し,運動神経細胞が大きくなる。電子顕微鏡観察では,特異的な小胞体の集合をもつperinurium cell,細胞内構造の異なる二種の巨大グリア細胞,遊離リボソームに満ちたグリア細胞と運動神経細胞,普通の神経細胞などを観察し,脳の一般的構造を明らかにした。
  • 山岡 景行, 平尾 常男
    1971 年 15 巻 4 号 p. 240-247
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコの雌蛾において,神経入力を完全に遮断した腹部末端神経球(GIX)の神経束から誘導できるインパルス放電(S.M. GIX)の放電活性は交尾によって高まる。本報ではこの現象を起こす機構について電気生理学的解析を試みた。その目的で,分離GIX標本を浸す外液のNa+またはK+濃度の変化が交尾蛾と無交尾雌のS.M. GIX活性におよぼす影響について比較検討した。今回の実験ではS.M. GIXはGIXから派出する神経束の一つN1から細胞外誘導法によって誘導した。標準リンゲル液中で誘導を行なうと,交尾蛾の方が無交尾蛾のS.M. GIX活性よりも高い傾向を示した。1mMおよび10mMのNa+添加リンゲル液中では交尾蛾のS.M. GIX活性は無交尾蛾の場合と比較してきわめて高い値を示した。1mMおよび10mMのK+添加リンゲル液中では,無交尾蛾のS.M. GIX活性が交尾雌の場合より高い傾向を示した。交尾と無交尾のS.M. GIX間に見られるこの様な相異は,リンゲル液の交換により消失した。したがって交尾は雌蛾の体液状態に何等かの変化を引き起こすものと考えられた。一方,カイコのように体液のNa/K比が低い食植性昆虫では,神経系を取り囲むnerve sheathがNa+やK+にたいして選択的透過性を有し,そのために神経細胞を浸す液のNa/K比が適当な値をとるように制御されていると考えられる。交尾によって引き起こされる体液状態の変化は,そのような透過性の制御機構に作用し,神経細胞を浸す液のNa/K比を交尾前とは異なったレベルにするものと推測された。
  • II. 逐次抽出法による園内密度の推定
    山田 雅輝, 関田 徳雄, 小山 信行
    1971 年 15 巻 4 号 p. 248-258
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    リンゴ園においてキンモンホソガのmineがどのような分布をしているかを,平均密度と平均こみあい度の関係から求められる基本集合度指数(α)と密度-集合度係数(β)を算出して検討した。
    樹内の場合,果そうを抽出単位として調査した第1世代ではα=0.080,β=1.103,新しょう中位葉を抽出単位とした第2∼4世代ではα=0.138,β=1.054で,いずれも若干のコロニー性を帯びた弱い集中分布をしているとみなされた。一方,第4世代の2次伸長葉ではα=0.467,β=0.949が得られ,低密度での集中分布から高密度での一様分布に変る形を呈していた。
    また,樹あたり平均密度とプールされた分散から求めた平均こみあい度をもとに得られるα,βは2次伸長葉の場合を除いて樹内のものより両者とも若干大きな値を示したが,2次伸長葉ではβが樹内のものよりも逆にやや小さかった。これらの樹内および樹間のα,βを用いて,一定精度で園内の密度を推定するための逐次抽出法を検討し,実例として平均値に対する標準誤差を0.1とした場合または標準誤差を0.01(第1世代果そうおよび第2∼4世代新しょう中位葉の場合)および0.05(第4世代2次伸長葉の場合)とした場合のストップ・ラインを求めた。
  • 立石 〓
    1971 年 15 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 風野 光, 浅川 勝
    1971 年 15 巻 4 号 p. 262-264
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 田村 弘忠
    1971 年 15 巻 4 号 p. 264-266
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 行成 正昭
    1971 年 15 巻 4 号 p. 266-269
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 小山 健二
    1971 年 15 巻 4 号 p. 269-271
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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