抄録
アメリカシロヒトリの雄成虫の前翅にみられる斑紋の出現要因について実験的に追求した。
蛹期における日長と温度の2条件の組み合わせでは,低温・短日が斑紋の発現をもたらし,高温・長日は逆に無斑紋の出現をうながすことがわかった。この場合,温度条件は日長条件よりも支配的であるが,両要因が拮抗的に働らくことも認められた。
幼虫期の日長または休眠の有無と斑紋の出現との関連性については,蛹期を低温に置いた場合に斑紋数の増減に影響を与える現象が明らかに認められた。
野外における本種の斑紋の季節的多型については,結果的に温度要因のみでも説明は可能である。