1959 年 3 巻 2 号 p. 86-90
リン酸質肥料の施用量とニカメイガ幼虫の生育との関係を知るために,リン酸施肥量の異なる土壤に水稲を栽培し,これに幼虫を接種,飼育した。その結果,幼虫の生育はリン酸質肥料の多少により影響を受けなかった。また水稲の生育状態,その化学成分も施肥量により影響を受けなかった。
リン酸含量の異なる水耕液で栽培された水稲茎を使用して幼虫を無菌飼育した結果,幼虫の生育は多リン酸区でわずかに良好であった。多リン酸区の稲茎は,リン酸,窒素化合物の含量が高く,糖類の含量が低かった。幼虫の生育は,窒素質肥料の場合と同様,稲茎の窒素含量により影響されたものと考えられる。
以上の結果からみて,実際圃場において,ニカメイガ幼虫の生育がリン酸質肥料の多少により影響を受けることはほとんどないものと思われる。