日本応用動物昆虫学会誌
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カイコの大卵突然変異遺伝子による形質発現
1. 大卵形質の特徴
河口 豊紫藤 光一藤井 博土井良 宏
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1987 年 31 巻 4 号 p. 344-349

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抄録

カイコ大卵突然変異(Ge)の卵に関する性状ならびに卵形成過程における蛹体重と卵巣の発育状況,卵巣(卵)タンパク質含量の経時的変化について正常との比較分析を行った。
1) Ge卵は正常に比べ卵形(卵殻の長径と短径),卵重,卵黄タンパク質含量のいずれも大であるが,卵黄タンパク質成分組成には差異は認められなかった。Ge雌成虫の造卵数は少なかった。
2) Geにおける卵巣生重,卵巣(卵)タンパク質含量ならびに蛹体重に対する卵巣生重割合の経時的変化はいずれも正常のそれと同じであった。
3) Geにおける卵形の大形化と卵内容物の増加は卵形成のための素材料が一定であるという制約下にあって,必然的に造卵数の減少をもたらすと考えられた。すなわち,個々の卵構成物質量と卵数とを調節する機構が強く作動しているものと判断された。

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