抄録
1) カンキツ園とその周辺の防風樹や施設栽培ブドウから採集したカブリダニ類について,methidathion, carbaryl, salithion, manebに対する感受性の調査を行った。その結果,前2薬剤において産地により変異のあることが判明した。
2) methidathionに対して感受性が低かったのは,ニセラーゴカブリダニでは愛媛県八幡浜市川上産と松山市東野町産のほかに3個体群があり,松山市東野町産(R)と感受性個体群(S)のLC50値でみたR/S比は9.3 (13.0ppm/1.4ppm)であった。コウズケカブリダニでは伊予市八倉産(R)の感受性が低く,R/S比は6.4 (43.0ppm/6.7ppm)であった。ケナガカブリダニの場合,とくに感受性が低い個体群は見いだせなかった。
3) carbarylに対して感受性が低かったのは,ニセラーゴカブリダニでは松山市東野町産(LC50値が82.0ppm)のほかに7個体群が認められた。コウズケカブリダニの場合は伊予市八倉産(R)の感受性が低く,R/S比は4.7 (53.4ppm/11.3ppm)を示した。
4) salithionに対しては,供試した岡山市一宮産と広島県安芸津産のケナガカブリダニの感受性はともに低く,LC50値が約400ppmを示した。