日本応用動物昆虫学会誌
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ヨトウガ類の相変異に関する内分泌学的研究
I. 幼虫の体色および行動の変化
小島 研一八木 繁実山本 正之
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1988 年 32 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

アワヨトウおよびクサシロヨトウを用いて,相変異に伴う幼虫体色の黒化や行動の活発化を支配する生理的要因を明らかにするため,内分泌器官の移植等を行い,以下の結果を得た。
1) クサシロヨトウ集合飼育幼虫はSGの摘出により体色黒化が抑制され,そのSGのアワヨトウ集合飼育幼虫遊離腹部への移植は,アワヨトウ集合飼育幼虫のSGの場合と同程度に黒化を誘起したが,クサシロヨトウへの移植では両種のSGともアワヨトウへの時ほど黒化を起こさなかった。
2) アワヨトウ単独飼育幼虫へのMRCHの注射により体色黒化を引き起こしたが,行動(擬死)に関しては明瞭な影響を与えなかった。
3) 集合飼育条件下で体色の黒化しない白型アワヨトウを選抜しほぼ固定したが,その行動は密度依存的に変化した。またそのSGはアワヨトウ集合飼育幼虫の遊離腹部を黒化したが,アワヨトウ幼虫のSGに比べると弱いものであった。一方,白型アワヨトウへの移植ではいずれのSGも黒化を引き起こしたが,その程度は低かった。

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