抄録
ウリミバエの雄誘引物質キュールアとnaled (BRP)の混合剤を木綿ロープ(直径0.7cm,長さ5.0cm)に吸着させ(キュールア・ロープ),ヘリコプターおよび人手により空中と地上から散布を行い,野外に生息する雄個体群抑圧の効果を検討した。キュールア・ロープ剤の散布密度は1ha当たり約40本とし,1982年8月から11月にかけて月1回の割合で計4回散布した。その結果,初回の散布によりトラップに誘殺された防除区の雄の個体数は対照区の約1/6に低下し,トラップごとの日当り平均誘殺数は,3回目の薬剤散布後の調査から4か月間対照区と比較して有意に低くなった。最終散布後の防除区の誘殺数は対照区の1/100であった。以上の結果,不妊虫放飼法によるウリミバエの根絶計画において,不妊虫の放飼に先駆けてキュールア・ロープ剤によって野生雄を防除することは,不妊虫散飼法を効果的に進めるうえで有効な手段になると考えられた。