日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
シロイモチジマダラメイガの発育に及ぼす温湿度の影響
内藤 篤
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 5 巻 2 号 p. 98-102

詳細
抄録
シロイチモジマダラメイガを卵から成虫に至るまで20°,25°,30°Cの定温の下にシャーレ内において単独飼育し,各ステージの発育速度や成虫の生存日数を調査するとともに,休眠性の有無についても実験を行なった。
発育零点は卵期で13.9°C,幼虫期で雌14.93°C,雄15.06°C,よう期で同じく14.97°C,14.56°Cであり,また有効積算温度はそれぞれ67.9日度,168.1,166.5日度,135.7,147.1日度であった。りんし目こん虫の中では,発育零点はかなり高いほうの部類に入り,1世代に要する有効積算温度は低いほうに属する。このことは本種が暖地性で多発型であることを裏書きしていると思われる。
本種は関東地方では大体年3世代,四国,東海近畿地方では4世代を営む。これは積算温度から理論的に求めた発生回数とほぼ一致している。
低温短日の条件下で飼育したものにはよう化しないものが多かった。しかしこの幼虫はのちに加温加湿すると比較的短い期間内によう化した。
平均25.5°Cの室温で成虫を飼育したところ生存期間は13日内外で雌雄間に差はなかった。しかし水分や蜂みつを与えないでおいたものは25°Cで9.5日,30°Cで5.7日内外で雄は雌より短命であった。
著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top