2025 年 28 巻 p. 1-9
本稿は,東南アジアで活動する日本人起業家がどのように起業プロセスを進展させているのかについての予備的考察を行うことを目的としている。東南アジアにおける日本人起業家に関する研究はまだその黎明期にある。本稿ではソーシャル・キャピタルを理論的枠組みとして,先行研究レビューを行うとともに,ベトナムもしくはラオスで事業を行う日本人起業家6名(ベトナム3名,ラオス3名)へのインタビューを質的に分析した。分析の結果,ベトナムやラオスで活動する日本人起業家は,人的資本,ソーシャル・キャピタルとベンチャー戦略の整合性を図りながら,起業プロセスを進展させていることがわかった。また,起業の各プロセスで3つの異なるタイプの社会的ネットワークを使い分けていることも明らかになった。本稿は,先行研究の蓄積がほとんどない当研究領域における探索的なアプローチを通じて,理論化のプロセスに貢献することを目指している。